2019年08月12日

王岐山が即位の礼に出席

 10月22日に行われる即位礼正殿の儀に、王岐山国家副主席を特使として出席する方向だと共同が報道した。

 産経は共同が配信した記事を引っ張らずに自分で書き、平成2年に行われた即位の礼では呉学謙が派遣されたことにも言及している。当時政治局委員で、副総理だった呉学謙より、常務委員経験者の王岐山は格上だという説明は、一定の説得力はある。

 ところが産経も、王岐山派遣の理由を「習氏は、盟友の王氏を派遣することで日本との関係を重視する姿勢を示す考え」としている。

 確かに王岐山なら格は呉学謙より上だ。常務委員を退任したとはいえ、現在党内序列は現役の政治局委員を上回る第8位。ただ、「国家副主席王岐山」が外交で重要な役割を与えられているかといえばそうではない。

 定年の内規をねじ曲げてまで常務委員には残さなかったが、ヒラ党員を国家副主席に据えることで、王岐山の政治生命は5年延びた。露骨に干されていた前任者の李源潮から「盟友の王氏」に代わったのだから、王岐山にはよほど働いてもらうつもりなのだ、と考えるのはおかしいことではなかったはずだ。

 ところが期待されていたはずのアメリカとの通商問題交渉は劉鶴副総理が責任者になり、鐘山・商務部長がそのサポートを務めるようになった。王岐山は出てくる気配がない。

 王岐山自身も国家副主席就任直後の昨年5月、自身は米中関係の責任者ではなく、習近平が何を自分にさせるかだと述べている。また、今年7月にはメキシコ外相との会見で、「儀礼的外交」と自分の役割を説明している。儀礼的外交なら、確かに即位の礼にはピッタリではある。

 習近平が国家主席に就任して7年目だが、これまで派遣された特使の最高位は、序列第7位の張高麗常務副総理で、2014年9月の第2回国連気候変動サミットに出席した時のものだ。

 外交部は張高麗の出席意義について、「中国の気候変動と今回のサミットをに対する重視を体現したものだ」と説明している。王岐山が出席するとして、この手の文言が出れば「日中関係の改善」は本物だと思うが。

==参考消息==
https://this.kiji.is/533174735500215393
http://www.rmzxb.com.cn/c/2017-08-24/1745555.shtml
http://politics.people.com.cn/n/2015/0710/c1001-27286924.html
https://www.fmprc.gov.cn/web/wjdt_674879/fyrbt_674889/t1190642.shtml
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2019年07月29日

李鵬の葬式に外地からお花を贈ったのは

 李鵬の葬式が本日午前、八宝山で執り行われた。

 事前の予告通り、葬式当日は、北京市内や各地方自治体の党機関・政府機関は反旗で弔意を示した。訃告(訃報)に続き、総理経験者などにしか与えられない対応だ。

 以前は副国級までズラズラと紹介されていた葬式の参列者は、現在では現役常務委員と正国級の国家副主席、そして総書記経験者に限定されている。正国級ではあるが総理経験者でしかない朱鎔基や温家宝は来たかもしれないが、公式ではわからないのだ。

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お花見にくい

 なお、朱鎔基、李瑞環、呉邦国、温家宝、賈慶林、張徳江、兪正声がお花を贈っているのが、かろうじて確認できた。

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先生、チェックお願いします

 李鵬の葬式は新聞聯播のトップニュースとなった。冒頭、当日のトピックを紹介する2人の衣装は黒をベースにした衣装だ。歐陽夏丹が黒系統の衣装を着るのは珍しい気がする。この辺りは、歐陽夏丹のファッションチェックで名高いmihokohk先生にもご意見を伺いたい。

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なんと夫婦揃っての参加

 一部で「健康が許せば出席する」と見られていた江沢民夫妻は、両脇をお付きのものに抱えられながら三鞠躬(死者への哀悼を表すために、頭を三回下げる)を行った。

 (映ってはないが)両脇を抱えられて李鵬の遺体を左手に見ながら進み、そして両脇を抱えられながら遺族と握手を交わしている。

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この顔は全盛期よくやってた

 ある程度前から日にちが決まっている党大会や両会は、そこにあわせて体調をピークに持っていくことができるが、葬式はどこの国でも急に開催される。ここまで衰えても出てくるのはもはや執念だ。

 周りが止めなければ、這ってでもやってくるかもしれない。何せ江沢民が葬式にくるのは張震以来4年ぶりなのだ。葬式に嫁も来るというのはなお驚いた。

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お花だけの胡錦濤

 さて、胡錦濤である。4年前に江沢民が喬石、万里、尉健行の葬式で3回続けてかましてしまい、物議を醸した「外地から花を贈る」をやってしまった。

 「外地から花」は、葬式当日北京にはおらず、また葬式に駆けつけられない程度に健康状態が悪い時に繰り出される技であると見られる。

 江沢民は3連続外地コンボを繰り出したあと、尉健行葬式の3週間後に開催された、張震の葬式にはしっかりと顔を出せている。まさに不死鳥だが、現在の胡錦濤は、3連続コンボ時代の江沢民と同じ状態なのだと推測される。

 弱った胡錦濤を見るのは辛いが、葬式に来られない胡錦濤というのも悲しいものがある。それだけに、両脇を抱えられてでも出席してきた江沢民の異常なまでの執念を感じるのだ。

==参考消息==
http://tv.cctv.com/2019/07/29/VIDE4XUa7KR9vR50MFqwgMOk190729.shtml
http://politics.people.com.cn/n/2015/0720/c1001-27332289.html
http://politics.people.com.cn/n/2015/0618/c1001-27173058.html
http://news.xinhuanet.com/politics/2015-08/16/c_1116268482.htm
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2019年07月23日

李鵬訃報を読む

 1988年から1998年まで総理を務めた李鵬が死去した。党中央、全人代、国務院、全国政協の四套班子共同名義で訃告(訃報)が出されるのは、2015年の喬石、万里以来だ。

 通常であれば訃告が第一報となり、簡単な経歴が紹介され、生前の実績に見合った称号(久經考驗的忠誠的共產主義戰士とか)が贈られた後、歴任したポストで何をしたかが詳細に記される「生平」が続いて発表される。

 2015年には政治局常務委員経験者の尉健行が死亡しているが、彼は上記の流れだった。四套班子のトップ経験者でないと訃告は出ないのかもしれない。

 一方、訃告が出されるレベルの大物は、訃告でまとめて紹介される。おそらく明日から北京の各省庁は弔意を示すため半旗を掲げるだろう。

 李鵬のキャリア形成は電力方面で行われたが、「傑出した電力工業の指導者」「核電力事業の開拓者」と、それに見合う称号が贈られている。当人も草葉の陰で喜んでいることだろう。

 しかし、李鵬のキャリアで最も注目されるのは、やはり1989年に起きた第二次天安門事件での役割だ。

1989年の春から夏にかけて起きた政治的風波において、鄧小平同志を代表とする一世代前のプロレタリア階級革命家の断固とした支持のもと、李鵬同志は旗幟を鮮明にした。

 中央政治局の大多数の同志と共に、果断な処置を取って動乱を防ぎ、反革命暴乱を鎮圧し、国内情勢を安定させた。

 党と国家の前途と命運に関わる重大な闘争において、重要な作用を発揮した。
さすが当事者だけあって、かなりの文字数が割かれている。天安門事件におけるスタンスについて、言及が全くなかった喬石や万里とは異なる。

 李鵬の動きは鄧小平たち中共敬老会の支持というか指示があったこと、政治局内部で意見の分裂があったことがわかる。解放軍にポストがなかったにもかかわらず、李鵬は中心になって動き、天安門事件を鎮めた功労者と言っても過言ではない。

 李鵬日記で自らは鄧小平の指示に従って動いただけと弁明していたが、公式に首謀者認定されてしまった。なにせ鄧小平たちは支持しているだけだし。

 総書記に就任する前に鎮圧されてしまったので、江沢民は天安門事件の動きについて肯定的に描写されることはない。李鵬日記によれば、中央委員会で正式に選出されるまでは表に出ない方がいいと、積極的な関与を拒んだそうだ。

 全人代で李鵬が弾劾され、趙紫陽派が巻き返す目もゼロではなかったから、情勢が固まるまでは大人しくしておこうとの打算も働いたのだろうが、なるほど、自分の訃報記事に書かれるのを避けたと考えれば、なかなか頭のいいやつと思う次第だ。


==参考消息==
http://www.xinhuanet.com/politics/2019-07/23/c_1124789470.htm
http://www.xinhuanet.com//politics/2015-06/14/c_1115610949.htm
http://www.xinhuanet.com//politics/2015-07/15/c_1115936749.htm
http://www.xinhuanet.com//politics/2015-08/16/c_1116268610.htm
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