2017年08月22日

王岐山が院士につれない件

 一昨年には開催中、「引退した老人(主に江沢民)は潔く身を引け」攻撃があった北戴河会議。今年は何事もなく終わったようだ。

開催中と思われる期間中、次の5年間を争う韓正や胡春華、王毅のアピールタイムと化したのは笑えた。政治局委員や閣僚と言えども、いつもは指導部7人の動向に隠れてほぼ目立たないが、会議開催期間中7人とも姿を見せないので、余計に悪目立ちしてしまっていた。効果のほうはわからない。

 老人代表である江沢民の最新動向は、5月の上海交通大学視察だ。息子が校長を務める同校の公式サイトでも紹介されていない。これまで、引退した指導部の動向は報道こそされてはいなかったものの、訪問先のサイトではしっかり紹介されていた。ついに老人(主に江沢民)の政治干渉を排除したと見ていいのかもしれない。

 胡錦濤にそういう力は無いので、習一強体制は揺るがなくなってきた。主席制の復活や常務委員制度の廃止なども、それほど現実離れした話では無くなってきた。

 ロシアのように総書記から名目上一度外れて、また二期在任するのかなとも考えていたのだけれど、主席制と一緒に付いて回るのは終身だ。創業者一族に経営権が戻り、間を空けずとも三期でも四期でもどうぞ状態なのか。ヒラ党員の蔡奇を北京市トップにつけたり、人事面では明らかに優勢な今の習なら、それもありうるのかもしれない。

 これまで習に一番近いとされ、彼が常務委員に居座ればまず習の超長期政権は間違いないと考えていた王岐山。4月ごろから汚職、さらには習が王の身辺を捜査させているとささやかれている。ささやいているのは1人だが、なぜか各メディアは引退の可能性を示唆するようになった。

 習政権発足まもなく、習とは50年来の知己と紹介され、自身は建国の功臣一族たる紅二代ではないものの、紅二代扱いされる王。彼を今更切り捨てるような人間なら、今後は誰もついていかなくなるし、これまで反腐敗を仕切ってきた王を切ることは反腐敗の正当性を自ら揺るがす行為だと思うがどうか。

 北戴河閉幕後、王岐山がある院士の葬式にお花を出していないことがわかった。王が長期間姿を消すのは虎退治の算段をするためと相場が決まっているが、まさかの失脚かとも言われている。半年前なら後者の可能性は誰も考えなかったが、今ではわずかながらも信憑性があるように思えてしまう。ご指名があったので、どういうことなのか説明しておきたい。

 葬式にお花を出す行為は、生前の故人との付き合いが良好だったかどうかによる。それが肩書き上必要なお付き合いなのか、個人的なお付き合いなのかにもよるが、縁もゆかりもない人には花を出さないのは日本でも、中国でも同じだ。

 後者でわかりやすい例では、習の母・斉心だ。彼女は総書記の母とは書かれないものの、誰もが周知の事実。訃報記事でお花を送っていれば、夫で習の父・仲勲の生前から、家族ぐるみで付き合いがあったか、少なくとも習一族と良好な関係であることはうかがうことができる。


 王岐山がお花を送らなかった院士とは、名誉色しかないが副大臣級(副省部級)待遇の特典が付与される学者界最高の称号のことだ。文教担当の劉延東や、教育部長を務めていた陳至立が花を送っている。院士の人事権は中央組織部にあるので、趙楽際・組織部長の名前も出てくるし、航空関連の科学者に解放軍のお偉方が花を送っているのは、個人的付き合いがあるにせよ、まずは公的なポストが彼ら院士に関わってくるためだ。

 今回、王岐山は常務委員で唯一お花を送っておらず、時期も相まって目立った格好だが、院士の葬式にお花を送らなかったのはこれが初めてではない。

 「院士」「花圏」「習近平」などのキーワードでググってみたところ、以下のような結果となった。本来であれば習体制以降に挙行された、院士の葬式全てをまとめてみたかったが、これだけでも傾向のようなものはつかめるだろう。

2017082202.png
※院士の葬儀一覧という謎のリスト

 ○はお花を贈った、慰問の電話をした、入院している病院に見舞いに行ったなど、とにかく故人に対して何らかのアクションを起こしたことを意味する。王岐山先生は16人中たったの2人。送った方がレアケースで、ここまで清々しいと院士に対して個人的な恨みがあるとしか思えない。

 王岐山ほどではないが、兪正声も不義理っぷりが目立つ。全国政協主席というポストの性格上、非党員の院士には皆勤賞かと思いきやそうでもないし、基準がよくわからない。

 王岐山がお花を送った2人との関係も不明なままなのだが、おそらくはこれが王の平常運転なのだと考えるしかないだろう。そのうち親切な香港紙が教えてくれるかもしれない。
ラベル:十九大
posted by aquarelliste at 23:07| Comment(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

2017年08月12日

南方航空が漏らす西安市の紀律違反

 南方航空が西安市指導部のために、豪快なサービスを行なったことが話題を呼んでいる。元の文章は削除されてしまっているので、キャッシュで確認してみた。

2017081201.jpg
南方航空の「いい仕事をした」感じが溢れる記事。現在は削除されている

 7月26日、南航(中国南方航空)西安支店営業部カスタマー所は、尋常ではないサービスを要求する電話を受けた。

 「66人の一団を、8月6日の西安発成都行CZ6433便に手配してほしい。また、全員を11列目までの席を用意してほしい」(後略)
 電話を代わった当番の胡組長は、西安市のお偉方が含まれていると判断、当該便は12列目以降を売るよう指示した。

 胡の勘は当たっており、政府団体66人の名簿からは、西安市委書記、市長、政協主席ら市の常務委員が多数登場することがわかった。彼らにはビジネスクラスの利用を勧める一方、「多くの部署が残業を行なって座席を確保」し、当日は支社長も休日出勤する中、西安市首脳部を乗せた便は無事フライト。「乗客の賞賛と信用を得た」と締めくくられた文章は、南方航空のやりきった感に満ち溢れている。

 6日に市委書記、市長、市政協主席を含む西安市の一行が成都にいたのは事実。地元企業に西安への投資を呼びかけたことが記事になっている。この後重慶や南京にも行っているのだが、成都から南京へ向かう便でも同じような要求をしたのだろうか。

 この記事がなぜ削除攻勢に遭っているのかについて、確かな根拠を持っているわけではないが、南方航空がサラッと乗客の身分を明かしているところに問題がある。顧客の情報を漏らした南方ではなく、西安市の要求に問題があるのだ。

 2013年に公布された『中央国家機関旅費管理規則』では、省部級(閣僚級)がビジネスクラス搭乗を認められている。その下の局長以下はエコノミーだ。西安市委書記は、上級自治体である陝西省委常務委員も兼任するから省部級にカウントできるだろうが、市長以下はどうだろうか。

 西安市は陝西省の省都で副省級市だから、書記、市長、人大主任、政協主席らいわゆる四套班子のトップは副部級にはなるが、同行した60名あまりは局長以下なので、今流行りの紀律違反を犯していることになる。ちなみに成都などでの活動では、呉鍵(西安市委常務委、宣伝部長)ら数名が実名で紹介されている。

 CZ6433便に使用されているエアバス321はビジネスクラスが12席。通常のエコノミー席より座席の間隔が40%広い「明珠エコノミー席」が24席あり、ビジネスクラスとここに別れて座ったのだろう。

 南方航空は色々とミスに気づいたのだろうか、当日に「報道は誤配信されたもの」という謎のコメントを出しているが、この手の記事にありがちなデマ認定はしていない。しかし、報道の内容が事実ではないと否定もしていないのだ。

==参考消息==
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:0jZ606BQDtAJ:news.163.com/17/0810/20/CRGNPMTH0001899N.html+&cd=7&hl=ja&ct=clnk&gl=jp
http://epaper.xiancn.com/newxarb/html/2017-08/07/content_289447.htm
http://news.xiancity.cn/system/2017/08/11/030489358.shtml
http://www.mof.gov.cn/zhengwuxinxi/caizhengwengao/wg2014/wg201402/201407/t20140728_1118944.html
https://www.csair.com/cn/tourguide/flight_service/cabin_layout/kongke/18h1tbo6e1lmg.shtml
https://www.csair.com/cn/tourguide/flight_service/cabin_layout/kongke/resource/7cfdf6cfeb21622933d7964442a1399e.png
http://www.csair.com/cn/tourguide/flight_service/A330/peconomy/
ラベル:紀律違反
posted by aquarelliste at 01:25| Comment(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

2017年07月17日

孫政才失脚はほぼ確実

 りんご、明報など香港紙が、今年の党大会で政治局常務委員入りを狙っていた孫政才の失脚を伝えています。どこまで信用していいものか。香港紙はカンニングみたいなものなので、公式報道からどれくらい危ないのか見てみます。

交代の一報が入ったのは15日の午前9時半。孫政才が務めていた重慶市委書記の後任に、陳敏爾・貴州省委書記が就任すること。同時に陳が貴州省委書記を降り、その後任には省長の孫志剛が昇格することが発表されました。

 孫政才について、「另有任用」という四文字がなかったことに違和感を覚えました。

 另有任用は「別途、党内部のポストで任用」という意味。別にポストが用意されているが、現時点では具体的な名称は明かせないか未定の状況で使われます。

 例えば、昨年8月に新疆自治区委書記を退任した張春賢は另有任用の文字がありました。10月になって中央党建設工作領導小組副組長という、具体的なポスト名が公表されています。

 一方、今年5月に北京市委書記を退任した郭金龍は、中央精神文明建設指導委員会副主任という、上がりポストへの就任が同時にアナウンスされていましたので、另有任用の四文字はありませんでした。

 この時点ではそこまで深刻には受け止めていなかったので、孫や陳が何をいうか、孫が組織部からどういう評価を受けるかを見てからでも遅くはないので、孫と陳の新旧書記が地元幹部を集めた交代式典の報道を待つことにしました。

 ところが、15日早朝に開催された幹部大会には孫は姿を見せませんでした。通常であれば新旧書記、交代を告げる組織部の担当者、省長以下省の幹部が出席するのが慣例となっています。

 後任の陳や組織部の担当者である趙楽際(組織部長)、陳時代ナンバー2の省長が、発言の中で孫の在任中の功績について触れるのが通例ですが、これもありませんでした。

 これだけでも異常事態なのですが、決定的なのが14日、15日に北京で開催された全国金融工作会議の報道です。

 各地方自治体や金融、証券関係の責任者らが集められた同会議では、政治局委員もフル出席が基本です。政治局委員は左右一列に座っているので、半分ずつを順に横にスライドさせていくように各委員を映してくのですが、許其亮と李源潮の間が不自然にカットされています。

2017071601.png
2017071602.png
※誰でしょうか(棒)

 政治局委員の座り方は決まっており、許其亮と李源潮の間に座っているのは孫政才で、明らかに青色のシャツを着た誰かが座っていることがわかります。

 これにより、孫政才は重慶市の幹部大会を欠席したのではなく、全国金融工作会議に出席していたものの、出席中に映してはいけないステータス異常に陥ったと考えられます。

 会議出席を一度は映像あるいは写真で公開されたものの、会議直後に拘束されたためその後の報道では不自然にカットされた前例に、周本順・前河北省委書記がいます。

 周は会議当日に拘束が公表されましたが、そろそろ始まりそうな北戴河で追認を受けてから発表という段取りでしょうか。

==参考消息==
http://hk.apple.nextmedia.com/realtime/china/20170715/56960723
https://news.mingpao.com/pns/dailynews/web_tc/article/20170716/s00013/1500141299559
http://news.xinhuanet.com/politics/2017-07/15/c_1121323441.htm
http://politics.people.com.cn/n1/2016/0830/c1001-28676010.html
http://news.xinhuanet.com/renshi/2017-05/27/c_1121047932.htm
http://renshi.people.com.cn/GB/17398115.html
http://politics.people.com.cn/GB/14562/17402526.html
http://www.cqwb.com.cn/mxw/2017-07/15/content_383890843212546.htm
http://tv.cctv.com/2017/07/15/VIDE8p0X9rWWglkcyJvQVNuC170715.shtml
ラベル:十九大 組織部
posted by aquarelliste at 12:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする