2017年11月20日

1粒で2度美味しい習近平さんの心遣い

 党中央が行う公式の個人崇拝がなかなかよかったので、ついでに紹介しておきたい。

 17日、新聞聯播のトップニュースは、全国精神文明建設表彰大会の様子を報じたものだった。

 王滬寧が正式に宣伝部門トップになったことがわかったこの表彰大会では、習近平との握手会と、代表たちが謎の笑顔で懸命に拍手をする様子が、7分半のうち約5分半ほどを占めるという異常事態となった。

 新聞聯播は現場の様子をこう描写している。

 習近平らが人民大会堂金色大庁に到着すると、熱烈な拍手が鳴り響いた。習近平らは喜んで代表たちと熱烈に握手をし、親しみ深く言葉を交わした。代表たちは次々と総書記に挨拶をした。93歳の黄旭華、82歳の黄大発の全国道徳模範代表は高齢であり、代表たちの間に立っていた。集金英は彼らの手を握り、自らの横に座るように呼んだ。

 2人は固辞したが、総書記が再度招くと、二人は総書記のそばに座った。総書記の2人の老模範に対する関心と尊重は、会場全体を感動させ、参加者の熱烈な拍手が長時間続いた。
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 習近平さんの温かい心遣いは記念撮影の際の話であり、握手会ではスルーしていたようだ。

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※丈夫そうには見えないが

 代表たちが立っている足場は非常に不安定そうなものを使っていて、将棋倒しになる可能性もある。とんでもない数が集まるこの手の集いで、事故とかはなかったのだろうか。国の威信をかけて最強に強度を上げているのだろうか。映像で見る限り、そうは思えない。

 習近平さんの暖かい心遣いに出席者や下々が感動した、というのが翌日のトップニュースだったのには驚いた。こんな寒い芝居に謎笑顔で付き合わされる代表はたまったものではない。

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※序列通りに座らないとは珍しい

 なお、予定されていなかった2人が最前列の向かって左側にあった丁薛祥と黄坤明の席に座ったため、左側が若干詰まっているのがシュールだと思いました。

==参考消息==
http://tv.cctv.com/2017/11/17/VIDEQmIoYVHQL4heIqNasV8a171117.shtml
http://tv.cctv.com/2017/11/18/VIDEP8INIeGFNGUM0v2ndKzM171118.shtml
ラベル:習近平
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2017年11月19日

『習近平談治國理政』は片手で振るには重い

 16日、新華社は「習近平・新時代の先導者」と題した記事を配信した。この記事で、習近平の肩書きが、記事のタイトルを含めて一気に8つになった、とBBCは報じている。

 創造性ある指導者
 偉大な闘争の中で形成された党の核心
 人民の幸福を考える雑用兵
 責任ある国家改革・発展戦略家
 軍隊と国防を再構築した統帥
 国際舞台における大国の領袖
 新時代・近代化建設の総設計師
 これらはいずれも新華社記事のリードとして使われている。いずれも、習近平の功績に関連して付けられている。2つ目の「偉大な〜」は江沢民以来の核心となった習近平が、反腐敗を経たことで核心にのし上がったとも取れる記事で興味深い。

 3つ目の原文となる「他為人民謀幸福」は東方紅で毛沢東を讃える中で使われていたし、最後の総設計師は鄧小平を表したものだった。こういうことをやっても党内の反発を食らわないくらいに、習近平は強まっているという証左なのかもしれない。

 ならば、もう1つくらい増えてもいいのではとも思うのだが、公式以外が勝手に付けるとダメらしい。

 貴州省の南西にある自治州・黔西南(けんせいなん)プイ族ミャオ族自治州の機関紙、黔西南日報が、11月10日と14日の2回にわたって、習近平に「偉大領袖」とキャプションを付けて紹介した。

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※偉大な領袖

 党大会での報告後に行われた、各党代表の集い(分科会)では参加者が「領袖」を使いまくっていたし、習近平を領袖だと表現しているメディアもあるので、習近平を「領袖」と呼ぶことには問題はない。

 問題は「偉大な」にあるというわけでもなく、このフレーズが毛沢東を連想させるからなのでもなく、とにかく下が勝手に呼称を作るのはダメらしい。黔西南日報の紙面レイアウトが確認できる電子版からは、「偉大領袖」関連の記事は削除されている。

 昨年、湖南省宣伝部長が作成を指揮した「不知該怎麼稱呼你」(あなたをどうお呼びすればいいのかわからない)もそうだが、下から勝手に呼び名を付けられるのは嫌う。なお、因果関係があるのかはわからないが、この宣伝部長は紀律違反容疑で失脚している。

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※毛沢東ポジションを奪う

 呼び方よりもまずそうなのが、州委の会議場など施設内の部屋にや、党幹部の自宅に掲げられているという習近平の肖像画だ。党関連の施設だけではなく、職業訓練学校の教室にも掲げられている。ここはかつて毛沢東さんのポジションだったはず。

 貴州省のごく一部の話で、現場が空気を読んでやった可能性が大なので、全国的な広がりを見せることはないだろう。

 党大会以降の個人崇拝話で一番毛沢東に近づいたと感じたのは、11月8日の北京市委常務委員会会議で、常務委員全員の席に会議資料とは別に、習近平本が用意されていたという話だ。

 この習近平本、『習近平談治國理政』(日本語名・『習近平、 国政運営を語る』)というのだけれど、胸ポケットに収まるサイズの毛沢東語録よりはかなり大きいはずなので、振るのは大変だと思う。

==参考消息==
http://news.xinhuanet.com/politics/leaders/2017-11/17/c_1121968350.htm
http://www.bbc.com/zhongwen/trad/chinese-news-42036121
https://news.mingpao.com/pns/dailynews/web_tc/article/20171119/s00013/1511028381935
http://news.youth.cn/sz/201710/t20171027_10925161.htm
http://cn.rfi.fr/中国/20171109-毛泽东好战士一词重现清大学者指乃个人崇拜死灰复燃
https://www.youtube.com/watch?v=nwhBO0UY6SA
http://world.huanqiu.com/article/2017-11/11369562.html
ラベル:習近平
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2017年11月12日

武装警察は中央軍事委指揮下へ

 10月31日、全国人大常務委員会会議でにおいて、『中国人民武装警察部隊の改革期間の関連法律規定の暫時調整、適用に関する規定』の草案が採択された。

 会議に出席した武装警察の制服トップである王寧司令員は、改革の趣旨について、公安部と中央軍事委の二重支配から中央軍事委に一本化すると説明している。中央軍事委が指揮権を持つようになるのだ。

 二重支配は建前上の話。これまでは地方政府が治安維持の名目で武装警察を出動させることがあった。例えば、2012年2月に起きた王立軍の亡命未遂事件だ。

 当時重慶市副市長だった王立軍が、重慶市に隣接する四川省の駐成都米国総領事館に駆け込んだため、薄熙来・重慶市委書記は市所属の武装警察を出動させ、公安車両が総領事館を包囲する写真が微博などで拡散された。装甲車が出動し、黄奇帆市長が包囲を指揮していたなどとも言われている(役職は全て当時のもの)。

 武装警察は国務院と中央軍事委の二重支配を受けることになっているが、実際は武装警察の第一政治委員を兼ねる公安部長に指揮権がある。周永康は2002年からこの第一政治委員を務め、2007年からは公安、裁判所、検察を束ねる中央政法委書記に昇格した。

 中央政法委書記には武装警察を指揮する権限はないのだが、公安部の上級部門として指揮権を有していたのが実情だ。

 2012年3月の両会最終日、温家宝が重慶市指導部を批判した翌日、薄熙来が重慶市委書記を解任され中央紀律検査委の調査を受けることになると、薄と関係の深かった金庫番・徐明も身柄を拘束された。

 周永康は徐を奪い返そうと武装警察を動員し、首都警護を任とする解放軍第38軍と対峙。解放軍側が「国を攻撃すれば反乱軍となる」と撤退を促して最悪の事態は回避されたものの、ひとつ間違えば一触即発の事態に陥っていた。

 薄は公判で、王立軍問題をどう処理するかについて、上級の指示を受けたと述べている。米領事館をすぐさま包囲できたのも、徐明の一件からも、上級が周永康を指しているは明らかだ。

 そういえば、薄熙来は王立軍逃亡後に重慶で開催された政法委大集合の集いに出席し、「永康書記」と親密さをアピールしていたことを思い出した。こういう呼び方を公式の場でやることはあまり見かけない。

 解放軍と真正面からぶつかれば武装警察でもひとたまりはないだろうが、軍を抑えた者が最高指導者の中国において、武力で肉薄する者がいるという事実は重かったに違いない。それは胡錦濤にしても、胡錦濤の後を継ぐことになっていた習近平にしてもだ。

 武装警察の指揮権を公安から取り上げることは、公安部の地位低下につながる。前任者より年上で65歳の趙克志が公安部長に就任した。これまでのように国務委員をしないのであればすでに定年だから、習近平お気に入りの傅政華あたりがすぐさま後任に就任するのではないだろうか。

 地方自治体では公安トップが政法委書記を兼任することで、司法への介入が行われていたことから、2010年に兼任しないよう通達が出され、現在兼任する自治体はない。

 武装警察を軍と位置付けることで、中央軍事委が指揮権を持つことを正当化したわけだが、胡錦濤時代に政法委書記が事実上指揮権を握っていた方が異常事態なのだから、これはこれで歓迎すべきなのかもしれない。

==参考消息==
http://news.xinhuanet.com/2017-10/31/c_1121886129.htm
http://cn.rfi.fr/中国/20171101-中央军委揽权武警-杜绝薄熙来调武警成都围困王立军事件重演
http://news.dwnews.com/china/news/2017-11-01/60020980.html
http://news.dwnews.com/china/news/2017-11-01/60020986.html
https://news.mingpao.com/pns/dailynews/web_tc/article/20171102/s00013/1509558595415
http://cn.rfi.fr/中国/20130827-公诉人说明删除“薄熙来上级”文字或与周永康有关
http://www.bbc.com/zhongwen/trad/china/2013/08/130831_bo_secret_statement
http://www.bbc.com/zhongwen/trad/press_review/2012/07/120701_rolling_uk_test.shtml
http://www.rfa.org/cantonese/news/china_landdispute_sichuan-20041108.html/
http://news.ltn.com.tw/news/focus/paper/17436
http://www.ce.cn/xwzx/gnsz/gdxw/201202/09/t20120209_23057569.shtml
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