2018年02月18日

中国原潜の父を侮辱した弁護士の末路

 山東省臨沂市臨沭県の公安局は、微博で中国工程院の院士を侮辱したとして、10日間の行政拘留と、罰金500元の処分を行ったことを発表した。

 微罪の処分発表は「侮辱的な」とだけで、実際の投稿がどういったものなのかわからない。わからなければ調べてみたくなるのが人情なので、調べてみた。

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※いい感じに酔っていたのでは

 「禚律师-a6j」なるアカウントが、黄旭華を「30年間も両親に連絡しなかった畜生がまた出てきた」と投稿。15日夜に放送された春晩に黄旭華が出てきたことで、当該アカウントの頭に血が昇ったようだ。

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※短期間で2回

 「また」とあるように、1月9日に黄旭華を紹介した書き込みに、「科学技術には貢献したとしても、人柄は畜生としかいうほかない。30年間も父母に無関心で、音信不通などという言い訳は成立しない」と怒りをあらわにしている。

 黄が機密保持のため、30年間実家に戻らず、連絡もしなかったというのは、公式にそう紹介されているから少なくとも表向きには事実なのだろう。

 「畜生」は日本のネットだと「薄一波がやった畜生行為で打線wwww」などと軽い感じで使われているが、本来の「人間以外」の意味で相手を罵る時に使うにはいささか古い気がする。

 ただ、中国では現役で、人非人とか「お前なんか人間じゃねえ」といったくらいの強い意味を持つ。リアルで口にすればファイナルファイト間違いなしだ。

 禚が「畜生」などという単語まで用いて、なぜ黄にそこまで敵愾心を露わにしたのかよくわからないが、相手は中国原潜の父と称される人物、というだけではない。

 昨年11月に開催された全国精神文明建設表彰大会は、習近平のにじみ出る人徳を紹介する格好の舞台となっていたのだが、そこで下にも置かぬ扱いを受けたのが黄旭華だった。といっても椅子に座らせてもらっただけだが、禚はニュースを見ない男だったのだろうか。

 なお、微博のアカウントには弁護士とあるのだが、昨年除名されていて、現在は県のもう1つ下の行政単位である街道の職員だそうだ。かりにも政府職員なのだから、ボスの動向くらいは把握しておかねば。

==参考消息==
http://www.jfdaily.com/news/detail?id=80354
http://news.sina.com.cn/o/2018-02-18/doc-ifyrqwkc7889952.shtml
http://www.gov.cn/ziliao/flfg/2005-08/29/content_27130.htm
1粒で2度美味しい習近平さんの心遣い(2017年11月20日)
ラベル:微博
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2018年02月14日

王岐山は引退していない模様

 王岐山が引退していないことが、公式に証明された。

 毎年恒例となっている、現役指導部による正国級、副国級経験者へのお年賀が行われた。このイベントを報じる記事には、お年賀を受けた副国級以上の経験者の名前が出る。『從黨和國家領導崗位退下的老同志』(党と国家の指導者から退任した古参党員)と呼ばれる。

 旧正月は、党人事が刷新される党大会と、政府人事が決定する両会の間に来るので、出来立てホヤホヤの「新・古参党員」が確認できる貴重な機会だ。この時点で政府の副国級以上ポスト保持者は、たとえ3月の両会で退任することが99%見えていても、現役として扱われる。全国人大常務委員長の張徳江や、国家副主席の李源潮らがそうだ。

 一方、党の副国級以上はすでに退任が決まっているので、中央精神文明建設委主任の劉雲山や、中央紀律検査委書記だった王岐山が・・・王岐山の名前がないのだ。

 王岐山は現在政府にもポストはないので、ヒラ党員の無役なはずだ。ヒラ党員になったはずの正国級の名前がお年賀リストにない答えは1つ。今後、党か政府でポストが用意されるということになる。

 党の人事はあらかた終わっているし、新しいポストをこしらえるためには中央委員会の開催が必要だろうから、王岐山に見合うポストは政府側で用意されるのだろう。

 王岐山はすでに湖南省の全国人大代表に選ばれている。胡錦濤も曽慶紅も、完全引退の年には選出されておらず、中軍委主席を留任した江沢民は選出されていたので、恐らく現役続行であろうとは見ていたが、ほぼ間違いないだろう。

 このリストはキャリアハイではなく最終ポストでジャッジされるので、経験者でも常務委員を解任された胡啓立は、キャリアの最後が政協副主席だったので副国級として扱われる。

 第19期は中央委員に格下げとなったので、劉奇葆や張春賢の扱いは不明だ。しかし、『古参同志の変化』という記事には以下のように書かれている。

劉奇葆は第13期中国人民政治協商会議全国委員会委員に加わった
張春賢は湖北省で第13期全国人大代表に当選
 わざわざ引退してないアピールをしているのだから、恐らく全国政協副主席、全国人大副委員長に就任が内定しているのだろう。

 同記事では王岐山をグランドスルーしている。王は前出の2人とは異なり現在無役だが、スルーをかますことで怪しさが高まっている。

==参考消息==
http://www.xinhuanet.com/politics/2018-02/13/c_1122415672.htm
http://www.xinhuanet.com/politics/2018-02/14/c_1122419710.htm
https://mp.weixin.qq.com/s?__biz=MzUzNTA4NTYxMA==&mid=2247493558&idx=2&sn=d2c2ab254152edd4d4bfffb557b0d1f8&chksm=fa8870f3cdfff9e5e4b781063f065de26e49e5f67e6a8f17a52789c674561b93b2bc7e414d60&scene=0&pass_ticket=Mc8JCZ8jHMivY96NZ9YbERJ5%2BQx1cGiEVWwy%2BOStvl7y4skOA%2B0cNlrtTGPDK0hM#rd
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2018年02月13日

中央委員の年齢層を分析してみた

 2ヶ月ほど前の話。某工作室代表に、「中央委員の年齢層はちゃんと把握しているのか」(大意)と、がぶり寄られた。

 酒の席だったので話半分に捉えてはいたのだが、興味あるので調べておきますとお答えした手前もあり、また興味自体はあったので進めていたのだが、先日進捗状況の確認が来た。

 そろそろまとめておかないとまずい気がしたので、どういった傾向が出ているのかをそれなりに分析してみたつもりだ。

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 第18期と第19期だけの比較だとデータとして心もとないので、第16期から第19期までの中央委員552人を対象に広げ、中央委員の年齢構成、成り上がり率を表にまとめた。性別、民族、学歴や大学なども扱いたかったが今回は取り上げない。

 まとめてみて色々なことが分かった。例えば。

 (1)中央委員の失脚による補選で、候補委員から繰り上げられて正委員となった者は、次期も正委員に選出されれば新任ではなく留任となる

 これは、第19期の新任の数がどうやっても5人合わないので、もしやと思い、第18期に補選された面々を1人ずつ調べていくと数字が合ったことで気づいた。

 (2)前期で中央委員に繰り上がったとしても、必ず中央委員になれるわけではない。

 第18期七中全会では11人が繰り上げされたが、第19期でも中央委員を務めているのは4人。第18期全体では5/19。二週間後に党大会を控えた七中全会を開催するためだけの補選なのだろうか。

 (3)エクセルは統計を取るのに向いていない。

 使い手の頭が悪いだけなのかもしれないが、もうエクセルではやりたくない。

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 江沢民は総書記就任してから、それまでトップを務めていた上海市から次々と部下を中央へ呼び寄せた。上海閥と呼ばれる人たちで、陳良宇の失脚で世継ぎは断絶し、現在はもう一線級には存在していない。

 習近平は1985年から2007年まで、福建省、浙江省と沿岸部で経験を積んでいたのが、総書記就任前後から江沢民と同じように中央、地方の要職に当時の子飼いを送り込んでいる。之江新軍と呼ばれる人たちだ。

 第19期はヒラからの正委員率が、第17期、第18期に比べて高いことがわかるが、胡錦濤政権の1期目となった第16期は割合で第19期を超えているので、数字上は特に異例とは言えない。一方で、蔡奇や丁薛祥らヒラ党員や候補委員からの政治局入りが5人と4期中トップとなっている。

 年齢構成だが、一部の世代が飛び抜けて多いわけでも少ないわけでもない。張慶黎や吉炳轩といった1951年生まれの66歳が中央委員会に留まることも特に珍しいことではなく、2,3人ではあるが毎期存在している。


 問題だと思うのは、最年少が二期続けて陸昊という点だ。

 黒龍江省長として第18期を乗り切った1967年生まれの陸昊さんが、第19期も最年少となった。第18期は1958年以降の生まれが、陸昊さんを含めて8名だったのが、第19期は63名もいる。

 形の上では新陳代謝をしているようにも見えるが、果たしてそうだろうか。仮に最年少の陸昊さんが総書記後継として常務委員に選出されるとして、第20回党大会の2022年には55歳、第21期から総書記に就任するのがさらに5年後の2027年で60歳。

 ご存知の通り、陸昊は厚遇されているようには見えず、総書記に就任という大逆転の目はまずない。現在の中央委員から後継者を出すとすれば、最年少でも陸昊のさらに3つ上である1964年生まれになるから、総書記に就任するのは63歳だ。胡錦濤、習近平が59歳で総書記に就任したことを考えると遅いのではないか。

 この仮説を元にすれば、現在の中央委員会に習近平の次の総書記はいないということになる。常務委員に新しく選出された5人はいずれも習近平と同年代で後継者にはなり得ない。政治局も老人だらけ。三選はあるかもと予測はしていたが、中央委員の状況を見ると四選もあるかもしれない。

 お気づきの点がありましたらご連絡ください。
ラベル:二十大
posted by aquarelliste at 23:15| Comment(0) | 消息 | 更新情報をチェックする