2016年03月03日

桃園の誓いは失敗グループ

 文化大革命前年の1965年、後に4人組の1人となる姚文元の執筆で「『海瑞罷官』を評す」という評論記事が上海の文匯報に掲載されました。

 簡単に言えば、1960年に作成された『海瑞罷官』という京劇では、海瑞は冤罪救済や官僚が農民から没収した農地を返しているが、その背景には反革命分子の名誉回復や人民公社解体の意図があると批判をしたものです。(原文

 それを読んだ毛沢東が、「海瑞罷官は彭徳懐解任を批判しとる!」と謎理論を炸裂。彭徳懐も海瑞と同じような直言野郎で、重なって見えたのかもしれません。

 それはそれとして、当時副市長を務めていた作者や、彼をかばった彭真ら北京市首脳部は軒並み粛清し、一気に文革へと突っ走っていきます。

 ネットや知識人への締め付け、反腐敗闘争を見てもまだまだだろうと考えていました。創作を批判するくらいになれば毛沢東時代の到来かなと思っていたのですが、知らない間にもう来ている模様。

「小グループ主義」は害しか残さない(解放軍報 2016/3/3)

 解放軍機関紙の解放軍報が、「劉備、関羽、張飛の政治集団は、地盤も最も小さく、存在した期間も最も短く、事業も最も成功せず、3つのうち最も失敗に終わった」と、のっけから謎理論を展開しています。

 『桃園の誓い』はフィクションだったはずですがお構いなし。「仁義云々と言っているが、実際は『兄弟主義』に他ならない」「現在の小圏子である」とマジギレ。

 小圏子は小グループという意味で、もともとあまり良い意味では使われていませんでしたが、一連の反腐敗で批判を受けている分派活動という意味でも使われています。

 重要な決定は小圏子の利益のみを考え、張飛が酒で失敗して劉備の妻を奪われても関羽が曹操を見逃してもお咎めなし。関羽が殺され、いらだつ張飛は部下の兵士を鞭打って最後には殺されてしまった、と「こんな小説にマジになっちゃってどうするの」という噛みつき方です。

 記事の後半で「習近平総書記は何度も『党内でセクト主義をやってはいけない。小グループを作ってはいけない』と強調している」と触れる一方で、「現在、小グループ現象は一部の地方、単位や部門で程度は異なれど存在する」とあります。

 いまだに党内から「小グループ」が一掃できていないことが逆に浮き彫りになっています。いつも書いていることですが、このあたりは本当正直なんですよ、中国共産党は。

 結論としては「セクト主義はダメ」なのですが、三国志がつかみとは恐れ入ります。劉備政治集団とか初めて目にしましたし、よくよく読めば水滸伝も批判していたりします。

 批判したい相手を「なんたら主義」と謎レッテルを貼りまくっていた時代に戻るのも、そう遠くない未来かもしれません。
タグ:文化大革命
posted by aquarelliste at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする