2016年04月17日

中紀委が突然のゴルフ擁護

 昨年10月、「党内の法規」と位置付けられ、法より重いとされている紀律の処分条例が新たに発表されました。

 旧条例では時代に合わなくなったため12年ぶりに修正となった説明されているように、中央の政策を妄議しないこと、党内で分派活動を行わないことなどが追加されています。

 今年の1月1日から施行されるはずでしたが、発表直後からどんどん新条例が適用されていたのは、中央紀律検査委員会(中紀委)が超法規的機関だからなのでしょうか。

 中紀委の機関紙である中央紀検観察報は114ある条例の中から1つを選び、適用された事例で何が紀律違反と判断されたかを不定期に掲載しています。

党員は微信の”朋友圏”で中央の政策を妄議していいのか(中国紀検観察報 2015/12/18)
“口止料”で他人の摘発を阻止するのはどういった行為か(中国紀検観察報 2015/12/21)
“風水屋”の加護が出世を保証することはどういった紀律違反になるのか(中国紀検観察報 2015/12/24)
任命に不満があれば赴任を拒否できるのか(中国紀検観察報 2016/1/16)
個人の関連事項を隠蔽するのはいかなる行為か(中国紀検観察報 2016/1/24)
幹部の檔案偽造は信用の問題だけではない(中国紀検観察報 2016/2/3)
同郷会の組織は党紀のどこに抵触するのか(中国紀検観察報 2016/2/16)
選挙における非組織活動の結果は重い(中国紀検観察報 2016/2/17)
グリーンカードを持つかどうかは個人的な事情なのか(中国紀検観察報 2016/2/19)
学歴の不正取得を党紀は許さない(中国紀検観察報 2016/2/26)
他人を助けて金銭を受け取らなければ問題ないのか(中国紀検観察報 2016/3/19)
権力交易は権力による私利の貪りなのか(中国紀検観察報 2016/3/20)
身近な人間が”権力”を借りて利益を図ることは党員幹部には関係ないか(中国紀検観察報 2016/3/22)
子女が仕事をしないのに給料をもらっても、党員幹部が事情を知らなければ紀律違反ではないのか(中国紀検観察報 2016/3/28)
公務執行に影響しない謝礼金を受け取るのは紀律違反か(中国紀検観察報 2016/4/5)
謝礼金を受け取ることが間違いならば、謝礼することは正しいのか(中国紀検観察報 2016/4/6)
冠婚葬祭を行うにあたり、服務対象は招待できるか(中国紀検観察報 2016/4/8)
謝礼の金品を受け取れないのならば、旅行などの手配を受けることは可能か(中国紀検観察報 2016/4/11)

恐らくこれで全部かと。グリーンカードの件は興味深い事案で、党に報告がなかったために党内の職務を解任されています。

 党員や公務員のパスポートは個人のものではなく党や政府機関のものですから、それを利用して永住権を取得するのはアウトのようです。

 新条例施行前に個人的にパスポートを取得し、英国の永住権を取得したことを報告していなかった科技日報の副社長が党籍を剥奪されています。

第76条 関連規定に違反して外国の国籍もしくは永住許可証、長期の居留許可を取得した場合、党内職務を解任、党内観察、あるいは党籍を剥奪する。

 では報告してたらお咎めなしなのかと言えば、新条例には報告に関しては明確に書かれておらず、「関連規定」とあるだけなので、何が決め手なのかははっきりとはわかりません。密告されるだけ損という気もします。

 解説で紹介された事案の末路は党籍剥奪などの処分なのですが、12日に紹介された事案は少し違いました。

ゴルフをするのに悪いも何もない。カードを持っているのが間違い(中国紀検観察報 2016/4/12)
http://csr.mos.gov.cn/content/2016-04/12/content_32193.htm

 趙某は某市委副書記。趙某はゴルフが好きで、長期にわたって現地のゴルフ倶楽部の会員カードを持ち、会員より安い価格でゴルフをしていた。省が展開した会員カード返還活動期間中、趙某は組織にカード所持の状況を報告しなかったばかりか、継続してゴルフをするために会員カードを他人の名義に書き換え、勤務時間中に10数回ゴルフをした。

 上記の紀律にある「会員カード返還活動」は、2013年に全党で「厳粛に、真剣に会員カード返却活動を展開せよ」との号令がかかった件を指します。ゴルフコースや会員制レストランのカードなど、密議に使えるクローズな場所の会員カードを所持しないようにとの政治運動ですね。

 会員カード自身が贈収賄のアイテムにもなりますし、会員制のクラブを使用すること自体が倹約を名目とする中央八項規定違反でもあります。

 北京市の新聞『新京報』も、翌日中紀委の方針変更に呼応して、「ゴルフ自身は健康的なスポーツである」「自費で、仕事時間以外のプレーなら必要以上の非難には及ばない」と、GOLFの頭文字にまで言及してゴルフのヘルシーさを伝えています。

 党員たちが今更自腹でゴルフに行くクリーンでヘルシーな人たちとは思えないので、中紀委初の譲歩と見ていいと思います。もうすぐ発表されるはずの八項規定から外れていれば確定。党員を締め付けすぎて反発を買っているのかもしれませんね。

==参考消息==
2015/10/22 党内の非組織的活動が処分対象に
2013/5/27 汚職撲滅の次の手
http://news.xinhuanet.com/legal/2015-10/09/c_128300857.htm
http://news.xinhuanet.com/2015-10/21/c_1116897567.htm
http://epaper.bjnews.com.cn/html/2016-04/13/content_630623.htm?div=-1
タグ:中紀委
posted by aquarelliste at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする