2017年06月26日

中国卓球総監督解任

 6月20日から25日までの日程で、四川省成都市で開催されていた卓球の中国オープンを、中国代表の馬龍(世界ランキング1位)、樊振東(同2位)、許キン(同3位)が揃ってボイコットしました。



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 23日、3人は揃って微博で「試合に出る気分じゃない」と投稿し、その後会場に現れなかったため失格処分となっています。樊、許ペアは男子ダブルスの準決勝には出場しているので、その後にボイコットすることを決めたことになります。



 彼らのボイコットは、20日に劉国梁を総監督から解任した中国体育総局に対する抗議であることは明らかでした。劉が姿を見せない試合会場には、観客たちによる「劉国梁!」という声援が響き渡っています。

 中国国家体育総局は、フラット化を理由に総監督のポストを無くし、3ヶ月前に総監督に就任したばかりの劉国梁を国卓球協会副主席に追いやってしまいました。内部改革は他のスポーツでも行われているのですが、この手の副主席は大体名誉職なのが相場。同協会の副主席はすでに18人います。

 同日、体育総局は上記の選手3人と、コーチ2人が行なったボイコットについて、社会に悪影響を与えたとして次のように厳しく批判しています。

 重要な国際大会で断りもなく試合を放棄したことは、スポーツ選手の職業道徳と品位を省みず、国家の栄誉と利益を無視し、観客を尊重せず、対戦相手を尊重しなかった。このような行為は極めて誤りであり、我々は断固反対である。

 スポーツチーム、スポーツ選手はいついかなる時であれ、愛国主義、集団主義を最優先とするよう要求する。厳しい試練に耐えた思想作風、厳格な紀律の要求は、スポーツのレベルと同じように重要である。国家体育総局は中国卓球協会に対し事実関係を調査し、厳しく処分を行う。
 中国卓球チームはこの批判を受け全面降伏し謝罪文を発表しました。ただし、3選手の行動については「国家卓球チームの管理方法、具体的な内容の調整を完全に理解しないまま、感情的になり、勝手に試合放棄した」とかばう姿勢を見せています。

 謝罪文より1時間ほど先に出された声明では、これまでの貢献に応えるべく、劉を副主席に昇格させさらに高いポジションからチームの管理、トレーニングなどを引き続き担当する人事だと説明。3選手の勘違いということにして幕引きを図る構えです。

 ただ、苟仲文が国家体育総局局長に就任した際は、管理者層を無くして局長が直接指導するとフラット化の意図を説明しており、劉はポストの名前が変わっただけというような説明はいかにも矛盾しています。

 なお、張継科(世界ランキング4位)も臀部の痛みを理由に第1ゲームの途中で試合を棄権しています。今思えばという気もしますが、卓球協会が名指ししていない以上、微博でコメントを投稿したかどうかを判断基準にしているようですね。

 サッカー改革で意見の分かれる、サッカー協会主席の蔡振華(副局長)潰しのためとばかりに杜兆才・局長助理(次官補)をサッカー協会党委書記に送り込んでいます。

 蔡も卓球選手上がりで、現在卓球協会主席を兼任(バトミントンも)。2期連続で中央候補委員だったりします。劉は当然蔡の直系になるのですが、劉が総監督時代と変わらずチームに携われるかどうかはしばらく様子を見ないといけません。

==参考消息==
http://www.tv-tokyo.co.jp/tabletennis/2017/06/000437.html
http://www.bbc.com/zhongwen/simp/chinese-news-40395602
http://www.sport.gov.cn/n316/n337/c811984/content.html
http://www.sport.gov.cn/n316/n337/c811993/content.html
http://www.weibo.com/2751313073/F9mN5ktqV?from=page_1005052751313073_profile&wvr=6&mod=weibotime&type=comment
http://www.weibo.com/1847912164/F9n1rCvaj?from=page_1005051847912164_profile&wvr=6&mod=weibotime&type=comment
http://www.weibo.com/2349336003/F9mDamRAI?from=page_1005052349336003_profile&wvr=6&mod=weibotime&type=comment
http://www.ctta.cn/xhgg/qttz/2017/0624/149306.html
http://sports.sina.com.cn/china/other/2017-06-20/doc-ifyhfnqa4506971.shtml
http://sports.sina.com.cn/others/pingpang/2017-06-21/doc-ifyhfnqa4526022.shtml
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2017年06月18日

死去12年後に解凍、葬儀の理由

 中国が解放軍に階級を導入した1955年に中将となった王秉璋さんの葬儀が5月31日に執り行われました。

 葬儀には毛遠新(毛沢東の甥)、林豆豆(林彪の娘)、羅栄桓、劉伯承、趙紫陽らの子孫たちが参列したとのこと。珍しいところでは劉志丹の子孫の名前も上がっています。

 王は2005年9月に亡くなり、葬儀までの12年間ずっと入院していた三〇一医院にずっと冷凍保存されていたと、王の娘が証言しています。異常な事態であることは明らかでしたが、葬儀の報道を目にした時はあまり深くは考えていませんでした。

 よくよく調べてみると、王は建国後最大の反逆者であろう林彪おじさんの直系の部下。おじさんがソ連へ亡命中に墜落死してしまったため反革命集団とみなされ、以来10年間拘禁されていました。釈放された1981年の時点で、反革命集団の一味ではないと結論づけられています。

 共産党の王に対する評価は、2000年に出版された『中央党史人物傳』でなされており、抗日戦争時と空軍建設、特にミサイル事業と宇宙開発に功績があったと称えています。また、林彪事件に関する記述は一文字もなかったようです。

 ただし、完全に名誉回復されているかといえばそうではなく、葬儀挙行を知らせる訃告の書き方を見れば一目瞭然です。

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※500部用意した冊子が足りない盛況だったようで

 訃告には過去に担当したポストが書かれるのが普通で、王なら宇宙開発を担当していた第七機械工業部長という肩書きや、中将という階級が記載されてしかるべきところです。

 ところが訃告には「原總裝北京第二幹休所老紅軍,第三黨支部黨員幹部」とあるのみ。関係者によると、王は党籍と階級を剥奪されており、釈放後に部屋と年金を与えられて余生を過ごしていたとのこと。

 死亡して12年後の葬儀挙行は、王の子供の1人が危篤状態となったことと、冷凍保存の費用を今後は国が払わないと宣言したことが要因で、名誉回復がなったからではありません。いや、本音を言えば王が名誉回復したかなど、私にとってはどうでもいいことです。

 冷凍保存されていた王の遺体は水分がすっかりと抜け、一部は酸化していたそうですし、両足が割れたためにビニール紐で両足を固定するほかなかったなどと遺体の悲惨な状況を聞くにつれ、遺族はこんな惨めな最期を迎えさせたくはなかっただろうと思うのです。

==参考消息==
https://mp.weixin.qq.com/s/Q5zbhz5IaCMJ83fGBuqVaw
http://www.xiexingcun.com/dangshibolan/dsbl2003/dsbl20031006-1.html
http://blog.sina.com.cn/s/blog_4ab761450102wvx7.html
http://history.dwnews.com/news/2017-06-18/59820636.html
タグ:葬式
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2017年05月29日

愛国者よりひどい党のメディア

 メリーランド大学に留学していた中国人学生のスピーチが中国で批判を受け、謝罪に追い込まれました。

 まずはスピーチの内容です。Shuting Yang(楊舒平)のスピーチ全体を訳してみます。

 同級生、父兄、並びに友人の皆さん、こんにちは。

 ここに立ち、メリーランド大学2017年度の卒業式でスピーチできることは、非常に光栄でありまた感激しております。

メリーランド大学に来た理由をこれまでずっと尋ねられて来ました。私の答えはいつもこうでした。「新鮮な空気」。

 5年前、私は中国からの飛行機から降り立ち、ダラス空港を後にしました。5枚のマスクから1枚を選び付けようとしていました。しかし、初めてアメリカの空気を吸った時、私はマスクを外しました。

 空気は本当に新鮮で、甘く、贅沢にも似たものでした。これには驚かされました。

 中国の都市で育った私は、外出時必ずマスクをかけていました。でなければ病気になっていたでしょう。

 でも、空港を出て呼吸をした時、私は自由を感じました。もう、メガネにモヤが張り付くこともありません。呼吸が苦しくなることもありません。圧迫感を感じることも。呼吸が愉快で幸せなことになりました。

 今日ここに立ち、私は自由の感情を思い出さずにはいられません。

 メリーランド大学では、また別種の新鮮な空気を味わえました。この体験は永遠に愉快なものにさせてくれるでしょう。それは言論の自由という新鮮な空気です。

 アメリカに来る前、私は歴史の授業で独立宣言を学びました。しかし独立宣言という単語には、何の意味も持ちませんでした。人生、自由、幸福への追求です。私はいい点数を取るため、単にこの単語を覚えたに過ぎなかったのです。

 この単語を聞いた時、奇妙な感覚を覚えました。とても抽象的で、なじみのないものだったからです。メリーランド大学在学中、自由に自分の権利を表現することを学びました。この権力こそが、アメリカでは神聖なものでした。

 メリーランドでは毎日、異議のある問題に対して自分の意見を表明してきました。自分の指導員に挑んだこともあります。教授への評価をネットに書き込んだこともあります。

 しかし、私が経験してきたカルチャーショックについては、心の準備はできていませんでした。大学が主催した劇を鑑賞した時のこと。アンナ・ディーバー・スミスが1992年のロス暴動を題材に書かれた「トワイライト・ロサンゼルス」です。

 この暴動はロドニー・キングを暴行した4人の警官が無罪で釈放されたことによるものです。6日間、ロス市民が通りに押し寄せ、都市全体が大混乱に陥りました。

 明け方、演者の学生たちは民族差別、性差別、政治問題について公開討論を行ったのです。ショックを受けました。

 そんなことは目にしたこともなければ、公の場でこうした話題が討論ができるとも知りませんでした。政治的なテーマを扱った劇を初めて鑑賞した感想です。観衆に批判的な思考をもたらしました。

 こうしたテーマを話したいと熱望していました。一方で、それは権威にのみ許される資格であり、真相を定義するのは政府であるとも固く信じていました。

 しかし、メリーランド大学の多様性によって、私は様々な事象に触れることができました。ここには言いたいことを言う機会があることに気がつきました。

 私の声はとても重要です。あなたの声もとても重要です。私たちの声はとても重要です。

 市民活動は政治家だけの仕事ではありません。ワシントンのデモに同級生が参加しているのを目の当たりにした私は、デモの真の意義に気づきました。

 大統領選挙のため、多用な事柄を支持するため資金調達をおこなう。みんなが変化に参加し、支持する権利を持っていることがわかりました。

 以前の私は、1人の参加や努力では成果を上げることはできないと考えていました。

 しかし、今の私は、メリーランド大学の人たちと共にあります。手を携え、社会をさらにオープンに、平和的に変えられるはずです。

 2017年度の同級生の皆さん。私たちは批判的な考え方を育て与えてくれた大学を卒業します。我々の大学は、人文科学に特に力を入れています。我々は多様な学科の知識を備えており、来たる社会の挑戦に準備は出てきています。

 大学院に戻る人も、会社勤めをする人も、さらに探索の旅をする人もいることでしょう。しかし何をするにしても、しっかりと覚えておきたいのは、民主と言論の自由はあって当然と考えてはなりません。民主と自由は新鮮な空気。勝ち取るに値するものなのです。

 自由は酸素。自由は情熱。自由は愛です。

 フランスの哲学者、ジャン=ポール・サルトルがまさに述べたように、自由は一種の選択であり、私たちの未来は今日、明日の選択によって決定づけられると。私たちは皆、人生に次の一章を書き記す劇作家です。私たちは共に人類の歴史を書き記しましょう。友人の皆さん、新鮮な空気を楽しみ、決して手離さないでください。ありがとう。
 このスピーチを受けて、発狂した中国人学生の様子が環球時報によって紹介されています。

 
「祖国を中傷する形で注意をひくやり方は断固容認できない。この手の全く根拠のない攻撃的な発言を、卒業式でさせたことには思慮が足りておらず、別の意図があるのではとの疑いも持ってしまう」(同大前中国人学生会会長)
 
「現場にいた中国人学生は首を傾げていた。現在の中国の状況はそこまでひどくないからだ。卒業式で学生代表として個人的な考えを述べるのは最も無責任な方法だろう」(卒業式に出席した学生)
 名指しされた昆明市も「我が市は全日が大気優良日です」と呑気な内容を微博で発表。また、新華社英語版も4年間昆明に住んでいたという微博ユーザーの「空気も綺麗で暖かかった」とのコメントを紹介。新鮮な空気の含意するところを思い切り避けています。楊舒平はそういう話はしてないと思うんですが。

 それより、党に近いメディアが、愛国者さまをはるかに上回る勢いで、彼女を責めるのに参加しているのはどういうことなのか。

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※コメントは書き込めないようになっています

 楊舒平は謝罪しました。謝罪の内容はいつも通り、「私は愛国者」です。事細かに訳出する必要もないでしょう。彼女は人身攻撃を受けていると明らかにしています。

 削除されてしまっていますが、これは人民日報海外版が率先してやっていたようです。「他国の空気は甘いなどという人は、スパイになるかもしれない」などと批判をしていたようです。名指しこそしていませんが、楊舒平を名指ししているも同然ですね。

 楊舒平は「イデオロギーの異なる者」として紹介されており、彼らは「他国の情報部門に利用される」と酷い扱いをされています。統一戦線部が昨年立ち上げた新部局のオルグ対象でもある留学生ですが、警戒するのもわからんでもありません。

 これだけ叩かれた後に「祖国を心の底から熱愛し、祖国のために貢献するならば中国政府は奨励し、歓迎する」(外交部報道官)と言われてもねえ。

 救いかなと思うのは、「楊舒平を集団で暴行する輩が『汚れた空気』を作り出しているのだ」と、「キーボード愛国者」を揶揄する文章が捜狐で見られたことでしょうか。


==参考消息==
https://www.youtube.com/watch?v=A3t4eXq2aT4
http://news.sina.com.cn/c/nd/2017-05-22/doc-ifyfkqks4445448.shtml
http://news.sina.com.cn/c/nd/2017-05-22/doc-ifyfkqiv6655397.shtml
http://www.bbc.com/zhongwen/simp/press-review-40036283
http://news.xinhuanet.com/english/2017-05/25/c_136315246.htm
https://www.voachinese.com/a/china-us-20170523/3867532.html
http://cn.rfi.fr/中国/20170523-杨舒平“辱华”风波-墙内墙外看法不同
http://www.weibo.com/2058648634/F4jcC6rtC?from=page_1005052058648634_profile&wvr=6&mod=weibotime&type=comment
http://www.fmprc.gov.cn/web/wjdt_674879/fyrbt_674889/t1464839.shtml
http://www.sohu.com/a/142796256_665455?_f=index,societynews_2
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