2017年09月30日

孫政才さん党籍はく奪

 重慶市委書記の党籍剥奪が政治局会議で承認された。10月11日に開催予定の中央委員会、七中全会で追認される。ハゲは出世しないという私の持論がまたしても証明されてしまった。

 孫政才は2012年に政治局委員に昇格し、当年54歳。広東省委書記の胡春華と並んで、次世代を担うホープと目されてきた。

 雲行きが怪しくなったのは今年2月。重慶市に対して行われた中央紀律検査委員会の巡視、汚職調査の結果である。重慶市に置ける巡視は第18期2度目で、2度目の結果は1度目より厳しい結果が出ている。

 同じ直轄市の天津市は、2度目の巡視で代理書記を1年半以上担当した黄興国が解任されている。孫政才は、巡視直後に解任こそされなかったが、「薄、王思想の排除が徹底されていない」と糾弾された。薄は2012年に重慶市委書記を解任された薄熙来、王は薄の腹心だったが、最後は仲違いし成都市の米国領事館に逃げ込んだ王立軍のことである。

 巡視結果では人事任用で問題があったことが指摘されている。薄熙来に近いものたちを引き上げたり、そのままにしていたということなのだろう。

 2週間後に迫った党大会。これに出席する重慶市の代表選出でも、人選に問題があったことが露呈している。5月に選出された党大会の代表43人のうち、孫政才を含む市委常務委員5人を含む13人が資格なしとして代表を再度選出することになった。なお、代表選抜にあたって、人事情報を握っている組織部長の曽慶紅(女)はすでに解任されている。

 十九大の代表名簿からは、重慶市首脳部である、市委常務委員の5人の名前がなかった。前出の曽慶紅(女)に加え、王顕剛(市委秘書長)、劉強(政法委書記、副市長)、陳緑平(副市長)、陶長海(統戦部長)である。

 党中央が規定する条件に合致した、優秀な共産党員が選出の基準だが、この5人は基準を満たしていないことになる。5月には5人とも選出されていたので、この4ヶ月で優秀な党員ではなくなったのだろう。ただし、他の自治体からは、党委員会常務委員は全員が代表に選出されているので、大したことのない基準であると思う。

 陳良宇や薄熙来のように、孫政才は政治局委員の職務を停止されておらず、そこまで厳しい処分にならないのではと考えた時期もあったのだが、孫政才の命運が決定的となったのは25日に開催された、「互いに奮闘した5年」展覧会である。

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犯罪者扱い

 周永康、薄熙来、郭伯雄、徐才厚、令計画といった、副国級の大物と同じ展示で紹介されている。他の5人は裁判での模様か、それに準じる場面でのキャプチャを流用したものだ。孫は刑事訴追を受けると暗示していた。

 孫政才の紀律違反に真っ先に挙げられているのは、理想、信念が動揺した。党の趣旨に反したというものである。また、仕事に怠惰だったとも指摘されている。薄、王排除において無能だったということなのだろう。権力の私物化や収賄は、手紙に書く拝啓みたいなものなので、どうでもいい。

 孫政才に薄、王排除の難題を押し付け、それができなければ解任という路線は、重慶市入りさせた時点で決まっていたのかとさえ思えてしまう。

==参考消息==
http://news.xinhuanet.com/politics/2017-09/29/c_1121747644.htm
http://www.ccdi.gov.cn/yw/201702/t20170213_93903.html
https://mp.weixin.qq.com/s/jXDvEZtGW8QR2LW02uJspA
http://www.cqrb.cn/content/2017-09/30/content_125791.htm
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:G8Qa-gqJlC8J:china.caixin.com/2017-09-29/101152419.html+&cd=2&hl=ja&ct=clnk&gl=jp&client=safari
http://epaper.cqrb.cn/html/cqrb/2017-06/01/001/content_169647.htm
十九大人事の件:陳敏爾の常務委入りもない(2017年09月24日)
ラベル:孫政才 十九大
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2017年09月25日

日本にも差別されるいわれはない

 中国のスマホメーカー・小米が、河南省鄭州大学で開催した就職説明会で、担当者が日本語専攻の学生に「出て行ってもいいよ」と言い放ったことが問題視され、小米は謝罪に追い込まれた。

 発言の全内容はこうらしい。

英語か、アラビア語専攻ならいらっしゃい。小米には海外市場がある。日本語専攻は出て行っていいよ。それか映画事業に行けばいい。
 この発言で会場は爆笑の渦となった。日本語専攻の学生の中には、侮辱を受けたとして席を離れる者もいたという。

 説明会にいた李敏(仮名)は「私たちはバカではない」と憤りをあらわにする。友人と参加していた李は提出していた履歴書を回収し、退室したという。

 仮名から推測するに、この学生は女性なのだろう。一緒にいた友人もその可能性が高い。彼女たちは単に日本語学科というだけで笑い飛ばされたわけではない。

 中国メディアは意外と奥ゆかしいので答えを書かない場合がある。今回がそうだが、映画事業の意味するところはアダルトビデオ産業を指しているようだ。奥ゆかしさの中にもヒントは隠されているし、満座が爆笑し、女子学生が憤慨する理由が他に見当たらない。日本と日本語学科の扱いがわかる微笑ましいエピソードである。

 「日本語学科は出ていっていいよ」までなら、小米は日本で事業を展開していないから、日本語学科はお呼びじゃないよという言い訳も成り立たない。なぜなら、説明会は専攻は問わないとしているからだ。

 小米CEO・雷軍の微博アカウントには、担当者の発言について説明を求めるコメントがいくつも付いた。また、当時説明会場にいたと思われる学生が、雷軍と小米の微博アカウントに対し、日本語を専攻する全ての学生に謝罪を求める文章を投げかけた。

 担当者は微博で「日本語専攻の学生は取らないと誤解されるような不適当な発言だった」「映画事業へ行けとの発言でみなさんを傷つけた」と、よくある定型文を発表。 雷軍自身は沈黙を守ったが、小米も「いかなる地域に対する差別を決して許さない」と声明を発表した。事態は沈静化しそうだ。

 差別発言が問題視され、企業が謝罪するだけ中国は成長していると言えなくもないが、その後ろにある日本については、どこのメディアも無関心だ。

 例えば、「インターネット企業は高収入、高技術と引き換えに、人に対する基本的な尊敬を失っている」と、批判的な目線を向ける新京報。

 しかし、「日本語学科の学生である中国人に差別される理由はない」とするならば、日本にも差別されるいわれが無いことを明言すべきだろう。でなければ、インターネット企業は云々などとご高説を垂れる資格はない。小米がわずかに「いかなる差別も許さない」と触れるにとどまっただけである。

==参考消息==
http://tech.sina.com.cn/t/2017-09-24/doc-ifymesii5316533.shtml
http://tech.sina.com.cn/roll/2017-09-24/doc-ifymeswc9564096.shtml
http://tech.sina.com.cn/it/2017-09-23/doc-ifymesii5136770.shtml
http://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_1803948
http://job.zzu.edu.cn/p/page/newsInfo.html?channel_code=ZPXX&cand01=10000009351648
https://www.weibo.com/5306942408/Fn2GMmNs0?from=page_1005055306942408_profile&wvr=6&mod=weibotime&type=comment#_rnd1506339399385
https://www.weibo.com/5932102776/Fn9nuExbd?from=page_1005055932102776_profile&wvr=6&mod=weibotime&type=comment#_rnd1506339348334
http://weibo.com/5136788508/FnimBxvu7
https://www.weibo.com/5136788508/FnimBxvu7?type=comment#_rnd1506340094114
http://epaper.bjnews.com.cn/html/2017-09/25/content_696524.htm?div=-1
ラベル:小米 日中関係
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2017年09月24日

十九大人事の件:陳敏爾の常務委入りもない

 前回は王岐山を葬ったので、常務委員の人選に移る。今回の人事では、王岐山に続いて注目を集める陳敏爾についてまず考える。

 浙江省委書記を務めていた習近平の署名入りコラムを代筆していたとされるのが、省宣伝部長時代の陳だ。習の中央入り、総書記就任確定以降は、浙江省副省長、中央委員当選、貴州省省長から省委書記への昇格、そして今年7月には重慶市委書記へと、この10年間の昇進スピードには明らかに謎のブーストがかかっている。

 もちろん謎のブーストなどではない。陳に限らず、福建、浙江時代に見初められた者たちは、習近平の中央入りで総書記就任が確定してからの昇進スピードがいずれも早い。

 北京市委書記に就任した蔡奇が顕著だ。彼は中央委員ですらないヒラ党員だ。前回の党大会の時点では、浙江省委常務委員だった。陳敏爾と同じく5年で副部級から副国級の二階級特進になる。

 10年前、上海市を腰掛けに中央入りした習近平よろしく、陳敏爾は中央入り、常務委員入りするのだろうか。結論から言えば、当分重慶に留まると見ている。

 習近平の場合、当時トップだった陳良宇が失脚し、芋づる式に関係者が逮捕され、ある程度情勢は落ち着いた後の書記就任だった。

 対する重慶市は5年前に薄熙来が失脚。その影響力を排除できなかったとして、孫政才は中紀委の叱責を受けた。その孫政才はあっけなく失脚し、重慶に送り込まれたのが陳敏爾だ。

 就任演説では誰しも「中央がボクを信頼しての人事」くらいは言う。陳は「中央が私を重慶に送り込んだからには、私は重慶の一員だ」と述べた。しばらくは重慶に留まることを示唆しているのではないか。

 重慶の問題はこれだけではない。5月に選出された党大会の代表43人のうち、孫政才を含む市委常務委員5人を含む13人が資格なしとして代表を再度選出することになった。

 陳敏爾は重慶入り以降、複数の代表が薄、王(立軍)の影響下にあるか、孫失脚に関連していることが判明したためと報じられている。重慶市人事トップの曽慶紅組織部長は既に常務委員全員集合集会に出席しておらず、詰め腹を切らされたのだろう。

 待った無しの問題を抱える重慶を離れることは出来ないだろうから、常務委員への昇格もあり得ない。王岐山、陳敏爾について書けたので、あとはオマケ。

 馬凱、劉延東、李建国、范長龍、孟建柱、郭金龍の6人はいずれも引退。他の5人に先がけて北京市委書記を退任した郭金龍は、中央文明委副主任という上がりポスト丸出しであと1ヶ月を過ごすだろう。彼と同年齢、もしくは彼より年上の5人も続投はない。

 李源潮は党の要職である組織部長から何の権限もない国家副主席へと送られた。特に国家主席の代理を行うような見せ場もなく、習近平とは反対に昔の腹心はほとんどが失脚。上がり目が全く見られない。李建国の後任、人大常務副委員長あたりがせいぜいだと思う。

 張春賢は新疆時代の政策が評価されておらず、閑職に送られた。これも上がり目はなさそう。孫春蘭、劉奇葆は現在の職務を続投。

 劉奇葆は南充市委員の選挙で買収が発覚し、当時四川省委書記だった劉も関与していたかもなど前向きの報道は無く、19期のどこかでクビを飛ばして黄坤明にすげ替える荒技が見られるかもしれない。黄は習近平の福建時代の部下だ。

 胡春華は地方にポストもないのでとりあえず中央入りするが、何をするのだろう。

 あとは残った人たちを当てはめるだけ。汪洋が常務副総理、韓正が全国人大委員長、趙楽際が中央精神文明建設委主任(宣伝部門トップ)というところだと思う。全国政協主席の適任者は思いつかないので触れない方向で。

 習近平 総書記
 李克強 国務院総理
 韓正 全国人大委員長
 趙楽際 中央精神文明建設委主任
 栗戦書 中紀委書記・中央書記処書記
 汪洋 常務副総理
 こういうのは色々考えるのが面白いのであって、あまり正確さを求めてはいけないと思う。当たるも八卦、当たらぬも八卦である。

==参考消息==
http://cq.cqnews.net/sz/2017-07/15/content_42276124.htm
http://www.gov.cn/gzdt/2007-03/25/content_560377.htm
http://www.ccdi.gov.cn/yw/201702/t20170213_93903.html
https://news.mingpao.com/pns/dailynews/web_tc/article/20170916/s00013/1505499017290
党大会直前恒例の大物失脚法則発動か(2016年06月29日)
「核心」に近いかそうでないかの明と暗(2016年07月05日)
ラベル:十九大
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