2017年11月29日

北京市の大火で蔡奇のクビは飛ぶか

 11月18日、北京市東南部の大興区で19人の犠牲者を出した火災が起きた。

 火災現場は低所得者向けの住居で、地下三階にまで違法な工事が進められていた。その際、壁の断熱材として使われる発泡ウレタンに電線を埋め込んでいたのだが、それが発火したためと結論づけられた。

 同地区には全市的に配備されている集中暖房が違法建築のため付いておらず、自前で用意した電気暖房器具を使用したためではないかと見られている。

 20日、北京市は潜在的な危険を取り除くとして、市内全域で違法建築の一斉摘発を年末まで展開すると宣言した。通知の翌日から長くても1週間以内に違法建築の住民や店子に立ち退きを命じたのだ。

 もちろん住民が素直に出ていくわけもなく、電気や水道を止め、夜中に押し入って部屋から強制的に追い出している。

 11月の北京市は最低気温が氷点下に落ち込む。違法建築に住む地方出身者の「低端人口」(底辺層)たちは文字通り着の身着のまま、寒空の中に追い出されてしまった。

 追い出された住民の総数は不明だが、摘発を展開する北京市安全生産委員会は、25395ヶ所に立ち入ったと報告している。ただし、彼らへの補償などは一切触れていない。

 ヒラ委員から習近平ブーストで北京市のトップに据えてもらった蔡奇・北京市委書記も、人民の命以上に貴重なものなど、これは人道的な対応だと強調。「低端人口」排除を否定している。

 火災のあった大興区では、追い出された住人の就職を斡旋する集いを開く一方、帰郷の補助も進めている。また余裕のあるホテルやマンションを用意し、一時的に泊めるなどの措置をとってはいるが、大興区から離れている者も多く、効果はあがっていない。

 北京市委の機関紙『北京日報』も、「低端人口」排除を否定し、北京市がすでに進めている、通州区への行政機能移転と本件を混同するのはおかしいとも宣言した。

 しかし、「3年間を期限として」「環境整備を行い都市管理のレベルをあげる」「質を上げ、量を下げる」とも書いている。

 3年後の2020年までに北京市の人口を2300万人程度にコントロールすると北京市が明言したことは誰でも知っているし、質を上げるなどと書けば「誤解」を誘発するのは目に見えている。

 北京トップに就任して半年の蔡奇。大火問題で習御大に相当詰め寄られた結果、なりふり構わぬ手段に出たのだろうか。順調にステップアップしてきた子飼いが今年の正月を越せるか期待したい。

==参考消息==
http://news.cyol.com/content/2017-11/27/content_16726938.htm
http://news.xinhuanet.com/politics/2017-11/19/c_1121976989.htm
http://www.bbc.com/zhongwen/trad/world-42113608
http://cn.rfi.fr/中国/20171123-北京清理低端人口-%C2%A0犹如党卫队清理犹太区
http://bj.people.com.cn/BIG5/n2/2017/1126/c82837-30963520.html
https://theinitium.com/article/20171126-opinion-Social-Darwinism/
https://zh.wikipedia.org/wiki/低端人口
http://china.caixin.com/2017-11-27/101176919.html
http://bjrb.bjd.com.cn/html/2017-11/24/content_195463.htm
https://news.mingpao.com/pns/dailynews/web_tc/article/20171128/s00013/1511806091467
https://theinitium.com/roundtable/20171128-roundtable-zh-beijing-immigrants/
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2017年11月20日

1粒で2度美味しい習近平さんの心遣い

 党中央が行う公式の個人崇拝がなかなかよかったので、ついでに紹介しておきたい。

 17日、新聞聯播のトップニュースは、全国精神文明建設表彰大会の様子を報じたものだった。

 王滬寧が正式に宣伝部門トップになったことがわかったこの表彰大会では、習近平との握手会と、代表たちが謎の笑顔で懸命に拍手をする様子が、7分半のうち約5分半ほどを占めるという異常事態となった。

 新聞聯播は現場の様子をこう描写している。

 習近平らが人民大会堂金色大庁に到着すると、熱烈な拍手が鳴り響いた。習近平らは喜んで代表たちと熱烈に握手をし、親しみ深く言葉を交わした。代表たちは次々と総書記に挨拶をした。93歳の黄旭華、82歳の黄大発の全国道徳模範代表は高齢であり、代表たちの間に立っていた。習近平は彼らの手を握り、自らの横に座るように呼んだ。

 2人は固辞したが、総書記が再度招くと、二人は総書記のそばに座った。総書記の2人の老模範に対する関心と尊重は、会場全体を感動させ、参加者の熱烈な拍手が長時間続いた。
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 習近平さんの温かい心遣いは記念撮影の際の話であり、握手会ではスルーしていたようだ。

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※丈夫そうには見えないが

 代表たちが立っている足場は非常に不安定そうなものを使っていて、将棋倒しになる可能性もある。とんでもない数が集まるこの手の集いで、事故とかはなかったのだろうか。国の威信をかけて最強に強度を上げているのだろうか。映像で見る限り、そうは思えない。

 習近平さんの暖かい心遣いに出席者や下々が感動した、というのが翌日のトップニュースだったのには驚いた。こんな寒い芝居に謎笑顔で付き合わされる代表はたまったものではない。

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※序列通りに座らないとは珍しい

 なお、予定されていなかった2人が最前列の向かって左側にあった丁薛祥と黄坤明の席に座ったため、左側が若干詰まっているのがシュールだと思いました。

==参考消息==
http://tv.cctv.com/2017/11/17/VIDEQmIoYVHQL4heIqNasV8a171117.shtml
http://tv.cctv.com/2017/11/18/VIDEP8INIeGFNGUM0v2ndKzM171118.shtml
ラベル:習近平
posted by aquarelliste at 23:20| Comment(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

2017年11月19日

『習近平談治國理政』は片手で振るには重い

 16日、新華社は「習近平・新時代の先導者」と題した記事を配信した。この記事で、習近平の肩書きが、記事のタイトルを含めて一気に8つになった、とBBCは報じている。

 創造性ある指導者
 偉大な闘争の中で形成された党の核心
 人民の幸福を考える雑用兵
 責任ある国家改革・発展戦略家
 軍隊と国防を再構築した統帥
 国際舞台における大国の領袖
 新時代・近代化建設の総設計師
 これらはいずれも新華社記事のリードとして使われている。いずれも、習近平の功績に関連して付けられている。2つ目の「偉大な〜」は江沢民以来の核心となった習近平が、反腐敗を経たことで核心にのし上がったとも取れる記事で興味深い。

 3つ目の原文となる「他為人民謀幸福」は東方紅で毛沢東を讃える中で使われていたし、最後の総設計師は鄧小平を表したものだった。こういうことをやっても党内の反発を食らわないくらいに、習近平は強まっているという証左なのかもしれない。

 ならば、もう1つくらい増えてもいいのではとも思うのだが、公式以外が勝手に付けるとダメらしい。

 貴州省の南西にある自治州・黔西南(けんせいなん)プイ族ミャオ族自治州の機関紙、黔西南日報が、11月10日と14日の2回にわたって、習近平に「偉大領袖」とキャプションを付けて紹介した。

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※偉大な領袖

 党大会での報告後に行われた、各党代表の集い(分科会)では参加者が「領袖」を使いまくっていたし、習近平を領袖だと表現しているメディアもあるので、習近平を「領袖」と呼ぶことには問題はない。

 問題は「偉大な」にあるというわけでもなく、このフレーズが毛沢東を連想させるからなのでもなく、とにかく下が勝手に呼称を作るのはダメらしい。黔西南日報の紙面レイアウトが確認できる電子版からは、「偉大領袖」関連の記事は削除されている。

 昨年、湖南省宣伝部長が作成を指揮した「不知該怎麼稱呼你」(あなたをどうお呼びすればいいのかわからない)もそうだが、下から勝手に呼び名を付けられるのは嫌う。なお、因果関係があるのかはわからないが、この宣伝部長は紀律違反容疑で失脚している。

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※毛沢東ポジションを奪う

 呼び方よりもまずそうなのが、州委の会議場など施設内の部屋にや、党幹部の自宅に掲げられているという習近平の肖像画だ。党関連の施設だけではなく、職業訓練学校の教室にも掲げられている。ここはかつて毛沢東さんのポジションだったはず。

 黔西南自治州トップの劉文新は、貴州省でキャリアを積み、今年の8月まで省都である貴陽市市長(市委副書記)だったが、何をやらかしたか黔西南自治州の書記に転属となった。

 貴陽も黔西南も地級市で同格ではあるが、省都とその他では同格とは言えない。書記に昇格こそしているがこれは左遷人事だ。

 大方復活を狙った示威行為なのだろうが、見事に出鼻をくじかれている。全国的な広がりを見せることはないだろうが。

 党大会以降の個人崇拝話で一番毛沢東に近づいたと感じたのは、11月8日の北京市委常務委員会会議で、常務委員全員の席に会議資料とは別に、習近平本が用意されていたという話だ。

 この習近平本、『習近平談治國理政』(日本語名・『習近平、 国政運営を語る』)というのだけれど、胸ポケットに収まるサイズの毛沢東語録よりはかなり大きいはずなので、振るのは大変だと思う。

==参考消息==
http://news.xinhuanet.com/politics/leaders/2017-11/17/c_1121968350.htm
http://www.bbc.com/zhongwen/trad/chinese-news-42036121
https://news.mingpao.com/pns/dailynews/web_tc/article/20171119/s00013/1511028381935
http://news.youth.cn/sz/201710/t20171027_10925161.htm
http://cn.rfi.fr/中国/20171109-毛泽东好战士一词重现清大学者指乃个人崇拜死灰复燃
https://www.youtube.com/watch?v=nwhBO0UY6SA
http://world.huanqiu.com/article/2017-11/11369562.html
http://ldzl.people.com.cn/dfzlk/front/personPage4701.htm
ラベル:習近平
posted by aquarelliste at 21:44| Comment(0) | 消息 | 更新情報をチェックする