2017年03月04日

ロッテとサードの1週間

 中国が配備に反対し続けてきたミサイル防衛システム・サード。韓国企業のロッテが配備する用地を提供することが2月28日に決まると、中国は猛烈なロッテパッシングを始めました。

 外交部は「少なくない国民がロッテ不買を表明している」という記者の前振りに、「外資は法律を守らなければならない」「中国での成功は市場と消費者が決める」と回答。

 民間によるデモが起きるのかと思いきや、全国各地でロッテグループへの嫌がらせが起き始めました。看板が未許可として罰金、店内で使用する業務連絡用のトランシーバーを違法な無線局とカウント、一部メーカーの商品回収など。

 全国に100店舗ほどあるロッテマートやモールはがら空きとの報道もありますが、環球時報の報道なのでどこまで信用していいものか。

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※法制日報の投稿。

 看過できないのは、法制日報が微博アカウントで中国国内にあるロッテグループのデパートやスーパーの店舗一覧を公開したことです。どういう意図で「ロッテは中国で稼ぎながら中国を攻撃している。こんなことは容認できない」とのコメントを添えたんでしょう。

 法制日報は公安や司法などを束ねる政法委の機関紙です。不買を呼びかけるためなのか、襲えということなのか。反日デモの教育が全く活かされていません。環球の「ロッテを攻撃し韓国を懲罰せよ」と題した27日付け社説そのままに、国が率先してロッテ叩きを行なっているのです。

 法制日報の微博投稿は削除されましたが、投稿されたリストはそのままネットで転載。ロッテグループの中国進出はスーパーやモール経営だけではなく、食品や飲料水の製造販売、リース業にも手を広げている。そうそう免税店もあるよと隙のない情報公開を行なっています。

 法制日報の投稿があった2日、江蘇省南通市では、日本でいうところの国士様が現地のロッテマート前でヒュンダイ車を破壊するという愛国行動に出ました。

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※u字ロックで草

 「U型鎖」とはU字ロックのこと。2012年に陝西省西安市で起きた反日デモで、日本車に乗っていた男性がデモ参加者に半殺しにされた時、使われたのがU字ロック。「飛ぶように売れたんだろうな」というのはなかなか面白い皮肉ですね。

 なお、背景のスローガンは吉林省のデモで使われたものと全く同じ文言で、組織的なものを感じます。デモが許可されている時点で、という気もしますが。

 さすがの環球時報も「国民の大多数は支持しない」と懸念を示しつつ、「反対するコメントがほとんどだった。中国人は成長した」と余計な一言を付け加えています。一般人は賢くなっていても、マスコミは後退していますね。

 中国には対立するグループの出した雑誌を買い込んで火を点けては喜ぶ巫術集団もいるので、自前のヒュンダイ車を破壊した、あるいは西部警察に提供された日産車よろしく型落ちだったという可能性もありますが、反韓デモも間近というところまで来ています。

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※アクセス稼ぎですかね

 アパホテルの時にも、チェックイン後に例の本を持ってフロントで抗議し、そのまま去るという国内向け動画が出回っていましたが、北京市望京の飲食店で韓国人を拒否するという動画がネットに上がりました。入店は拒否せず、席に落ち着いてから動画を撮影という辺りお察しのような気もします。相手が全然喋らないのもポイントが高いですね。

 仮にアパホテルが中国へ大規模に進出していれば、中国国内での兵糧責めをやられていたことでしょう。ここの社長が妙に強気なのもうなずけます。

 外交部は目が見えていないのか、「国内で反サード運動や、暴力運動など存在しない」と反論。同じ口で「関係各所は民衆の声に耳を傾けて欲しい」と相反する発言をしています。あくまでも一般人が穏やかにやっているとのスタンスのようですが、認識が甘いと言わざるを得ません。

 アパは問題視されていた中国人代表団が別の公式ホテルへと住まいを移したことで一応の決着となりました。昨日から北京市では1年に1度開かれる両会が始まっています。同時並行で盛り上がるのか、両会を挟むことでクールダウンするのか。もうしばらく注視しておきたいと思います。

==参考消息==
http://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_1628740
http://news.mingpao.com/pns/dailynews/web_tc/article/20170301/s00013/1488305051943
http://news.sina.com.cn/c/nd/2017-03-02/doc-ifycaafp1573504.shtml
http://news.sina.com.cn/c/nd/2017-03-02/doc-ifycaafm4692580.shtml
http://opinion.huanqiu.com/editorial/2017-02/10212393.html
http://www.fmprc.gov.cn/web/fyrbt_673021/t1442083.shtml
http://world.huanqiu.com/exclusive/2017-03/10239640.html
http://finance.sina.com.cn/chanjing/gsnews/2017-03-02/doc-ifyazwha3482347.shtml
http://news.sina.com.cn/c/nd/2017-03-02/doc-ifycaafp1463548.shtml
http://opinion.huanqiu.com/editorial/2017-03/10239105.html
http://www.weibo.com/tv/v/83e49340353756ce9367b251a9e585f7?fid=1034:83e49340353756ce9367b251a9e585f7
http://www.fmprc.gov.cn/web/fyrbt_673021/t1443009.shtml
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2017年02月26日

紅二代の思想を垣間見てしまう

民主派デモ参加者への暴行、警官7人に禁錮2年 香港(AFP 2017/2/17)

【2月17日 AFP】香港(Hong Kong)の裁判所は17日、2014年に民主派デモに参加していた男性1人に暴行を加えた罪で起訴されていた被告の警察官7人に対し、禁錮2年の有罪判決を言い渡した。警官たちが男性に暴行を加える様子は映像に捉えられ、世界中に広まった。

 裁判所は、警官7人に対し、香港の民主派政治団体「公民党(Civic Party)」に所属するケネス・ツァン(Ken Tsang)氏に身体的な危害を加えたとして有罪判決を下した。だが意図的に重傷を負わせたとする罪については無罪となった。

 地元テレビが放送した、政府庁舎近くで警官たちがツァン氏に暴行を加える映像は市民らに衝撃を与え、警察当局に対する信頼感の低下につながった。

 映像には、6人の私服警官が、手錠をかけられたデモに参加していた男性を、公園内の暗がりに引きずりこむ様子が映されている。警官の1人は男性を殴り、さらに3人の警官は男性を繰り返し蹴りつけている。

 デービッド・ダフトン(David Dufton)判事は判決の言い渡しの中で、警官たちの行為について「残忍な攻撃」と非難し、法を犯した警察官は「懲らしめられなければならない」と述べた。
 警官に有罪処分を下した裁判官ということで、雨傘革命の制圧は当然と考える人から恨みを買っているようです。

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※これでも40超えてるんだよな

 2月19日、蔡小心なる微博アカウントが「英国籍の『裁判官』ダフトンのような雑種を殴るため、1万元を出資したい。約束は必ず守る」とブチギレコメントを投稿しました。

 雑種は単に混血を意味するスラングではなく、「父親の種がわからないやつ」という母親の股の緩さも同時に揶揄する最大級の侮辱で、リアルに口にすれば殴り合いになるのは確実。ネットでも煽りでよく使われています。

 流石にまずかったのか、現在投稿は削除されていますが、「香港の司法権回収を急げ」「『50年不変』にこだわるな」など、ただでさえ一国二制度への信頼が揺らいでいる現状に石油をぶっかける投稿をしています。

 『50年不変』は中英共同声明に明記されており、「高度な自治」、「香港人が香港を統治する」、「現行の資本主義制度と生活スタイルを維持する」ことは、香港が中国に返還された1997年から50年間変えないとしたものです。

 蔡小心は「香港が返還されて何年も経過したのに、裁判所はイギリス人とイギリスが制定したゲームの規則に縛られている」「出廷するにはゴールデンレトリバーみたいな偽のカツラをつけなくてはならない。治外法権でなければ何なのだ」と不満を露わにしています。

 香港の司法が中国側の思い通りにいかないのは、外国勢力に支配されているからだとの見解が共有されていなければ、こういった不満は出てきません。

 サウス・チャイナ・モーニング・ポストによると、この蔡小心は蔡長元少将の息子なのだだそうです。長元は1917年生まれで解放軍に入隊、1955年に少将に昇格という毛並みの良さから、紅二代と数えて間違いありません。小心自身も紅二代であると自認しています。

 1976年生まれなので、長元59歳の時の子供ということになりますから、世代的には紅三代と呼んでも良さそうです。図らずも紅二代の頭の中をのぞいたようで、なるほどこういう人たちが習近平を支えているんですね。
 
==参考消息==
http://cn.rfi.fr/中国/20170220-解放军将军之子悬赏1万“教训”判7警坐牢香港法官
http://www.weibo.com/63189566?is_hot=1#_loginLayer_1487600353224
http://www.protocol.gov.hk/images/eng/precedence/prelist.pdf
http://www.nfcmag.com/article/5567.html
http://history.people.com.cn/n/2015/0708/c372328-27273780.html
http://hongkong.dwnews.com/news/2017-02-21/59801223.html
http://news.mingpao.com/pns/ケ小平:港50年不變%20助華現代化-英密檔:倘中國違聯合聲明%20英必出聲/web_tc/article/20141231/s00001/1419962589505
http://mainichi.jp/articles/20160401/ddm/004/070/006000c
タグ:紅二代
posted by aquarelliste at 13:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月30日

中央の指導者による古参同志慰問について

 旧正月に入ると政治的な動きは止まるので、旧正月恒例の古参同志(ベテラン党員)慰問についてまとめました。副国級以上である中央の指導者が慰問する古参同志もまた副国級以上。閣僚級のさらに上に位置する殿上人の方々であります。

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※オレンジの網がけは正国級、文字の赤は当年新人となった古参同志

 今振り返ると1999年までさかのぼる必要はなかった気もしますが、かつては喬石や宋平がどこで旧正月を過ごしているかがわかるプライバシーのダダ漏れ状態だだったことが判明したので、全くの無意味ではありませんでした。

 西暦の末尾が7の年に党大会が開催され、党職に就いている面々が引退。政府職からの退任はその翌年なので、新メンバー加入の時期がずれます。

 例えば、党の職務である中央紀律検査委書記だった尉健行は、2002年11月の党大会で退任しているので、2003年1月の時点で新メンバー扱いされています。李鵬、朱鎔基らはその後の3月で退任しているので、3月から新メンバーなのですが、年一度の慰問での新メンバー扱いは2004年からになります。新年加入は基本的にこのタイミングしかなく、あとは次の党大会まで減っていくのみ。

 江沢民のみ2006年からの加入になっていますが、これは2005年まで国家軍事委員会主席のポストにあったためです。江沢民はヒラ党員になった2009年にも、当時の上海2トップを従えて古参同志が出席する新年の祝賀会にホスト側として登場するなど、かくしゃくとしていました。

 最近は元気がないのですが、春頃になれば冬眠から覚めてまた動き出すものと期待しています。

 2014年はこれまでの名簿読み上げがなく、総書記経験者の2人のみ名前が挙がる異常事態でしたが、これは当時すでに取り調べが始まって、党と国家の指導者ではなくなっていた周永康の去就を知らせたくがないための措置だったようで、翌年から従来の方式に戻っています。

 なお、2013年の葬儀から、現役常務委員及び常務委員経験者を除く副国級の序列は公表されていないため、補完ができなかったことを申し添えておきます。

==参考消息==
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2009-01/24/content_10714432.htm
タグ:序列
posted by aquarelliste at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする