2018年03月09日

中国語の下手な記者を笑い者にする外相とメディア

 世界各国から記者が集まる両会。党大会直後の今回は国務院や全国人大など政府人事が一気に入れ替わるが、今回は国家主席の任期撤廃をはじめとした憲法改正、国務院の省庁再編など話題が盛り沢山だ。

 最終日に国務院総理が長時間に渡って記者との問答を行うのが恒例となっている。外交部長も外交政策について記者会見を設ける。その記者会見が8日に開催された。

 今年は共同通信の記者が中国語で質問したのだが、王毅外交部長は、質問に答える前にまず「希望你繼續努力地學好中文」(努力を続けてしっかりと中国語を勉強してほしい)と話した。

 これが列席している記者たちの笑いを誘った。王毅はすぐに身振りでこれを制し、質問である日中関係について回答を始めている。あのいなし方から、笑っているのは中国人記者がほとんどなのだろう。

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 王毅の言う通り、記者は中国語をもうちょっと勉強した方がいいレベルだが、メディアが率先して「会場は王毅の一言で爆笑の渦に」と見出しに持って来る必要はないと思う。そもそも大臣が言うことでもないし、文字に起こされると王毅の表情など場の空気は一切描写されないから、バカにした感じだけが残る。

 昨年は李克強が中国語ネタでいくつか笑いを誘っていた。

 あいさつだけ中国語で、質問は英語でしようとしたブルームバーグの記者に、「中国語で続けて」「十分時間を取るから」とおどけている。

 中国語で質問をやりきった日経新聞の記者には、どこで中国語を勉強したのかと逆に質問し、台湾にいたからなまりがあるかもと答えた記者に、「上手い」と褒めていたりもする。

 王毅は1月に開催された日中外相会談で、「翻訳の間違い」をたびたび通訳に指摘していたと、河野外相が紹介している。

 今回の記者会見で、他の非ネイティブの中国語については何も言っていないので、他人の下手くそな外国語にを指摘しないと気が済まない性格だとは考えづらい。相手を見てやっているだけのような気がする。

 李克強と王毅の格の違い、というだけならいいのだけど、日本を下げて笑いを取りに行っても問題ない空気が生まれつつあるとしたらさすが大国だというほかない。

==参考消息==
http://www.xinhuanet.com/world/2018-03/08/c_137024098.htm
http://v.ifeng.com/video_12343315.shtml
http://www.bjnews.com.cn/video/2018/03/08/478223.html
http://www.guancha.cn/politics/2017_03_15_398887_s.shtml
https://v.qq.com/x/cover/07x0j0k2voljkks/t0026q2nm2g.html
http://video.sina.cn/news/i/2017-03-15/detail-ifychhus1407832.d.html?pos=3&vt=4
http://news.sina.com.cn/c/nd/2018-03-08/doc-ifyrifer6384768.shtml
https://www.youtube.com/watch?v=oBTcWgyV7GI
ラベル:王毅
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2018年02月28日

習近平の新たな派閥

 習近平の子飼いは政治局にわんさかといるわけだが、蔡奇を見ても分かるように福建や浙江から連れてきたのは期待できそうにない。蔡奇だけが突出して酷いわけではないだろう。

 彼らに謎の出世ブーストがかかったのが、習近平総書記誕生の2012年。スピード出世すぎて成長が追いついていないのもあるだろうが、太鼓持ちみたいなのしかいないのかもしれない。彼らには、3期目を支えることもできなければ、以外と年齢層も高くて習の同年代か少し下の年齢なので後継者にもなり得ない。

 習近平が長期政権を目指すなら、忠誠を誓うだけのボンクラではなく、使える部下が必要になる。

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 そんなことを思いつつ、旧正月前までに全て入れ替わった地方自治体の2トップ、書記と省長(主席、市長)の経歴を見ていると、あることに気がついた。

 先だって某工作室代表同志は「航空宇宙関係の技術者が地方政府のトップに抜擢されている」とおっしゃっていた。確かにその経歴を持つ者もいるのだけれど、それだけではない。

 解放軍の装備を研究し、また装備を供給する中国兵器工業集団公司を経て政界に出る者、これまた解放軍の装備を生産する工業情報化部出身の経歴を持つ2トップが増えているのだ。

 工業情報化部は電気通信分野を担当し、経産省と総務省に相当する部門と位置付けられているが、前身である中国国防科学技術工業委から軍の装備の研究、生産を受け継いでいる。航空宇宙分野も軍とは切っても切り離せない関係だ。

 福建、浙江時代に嫌というほど付き合いのあった「之江新軍」と比べると、習近平と接点はないように思えるのだが、いずれも今回の入れ替えで地方自治体に進出してきている。

 習近平が彼らを抜擢した意図はわかりかねるのだが、実際に抜擢されているので彼らの何かを買っているとしか考えられない。

 この件を取り上げた記事で一様に指摘されているのが、彼らの能力の高さだ。優秀な人材が集まっていたはずの石油産業からの転向組が、周永康の取り巻きばかりで根絶やしになってしまい、同じく優秀な人材が集まる軍需産業から引っ張ってきたとするのが統一した見解だ。

 また、地方の地縁に染まらず、党への、すなわち習近平の忠誠が見込めるというのもある。地方トップに地元の人間を使わず、別の地方から送り込むのも一つの手だが、全く畑違いの分野から送り込まれているのが彼らだ。

 年齢が高めな太鼓持ちたちより若いというのも、次世代を担う感が出ている。63歳の陳求発と61歲の許達哲を除けば、いずれも50代。20大(第20回党大会)以降もまだまだ働いてくれそうだ。

 そう言えば国務委員の王勇も航空産業上がりじゃないかと思い出したのだが、第19期も中央委員のまま。国務委員留任くらいがせいぜいっぽいので、流行りの業界といっても全員が恩恵を受けるわけではないらしい。

==参考消息==
http://news.dwnews.com/china/news/2018-02-12/60040665.html
http://www.chinesepen.org/blog/archives/92434
https://news.mingpao.com/pns/dailynews/web_tc/article/20171001/s00013/1506793934822
https://www.hk01.com/兩岸/145985/工信部副部長唐登杰出任福建代省長-兵工航天系官員受重用
ラベル:蔡奇 二十大
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2018年02月25日

霧で海南島から帰れない

 2月15日から21日まで続いた旧正月の休暇。中国の長期休暇は前後の土日を出勤日にして、連休を作る方法を採用している。

 例えば、今回の旧正月なら、11日の日曜日と24日の土曜日は出勤日となるので、前後は六勤になる。ワーカーならともかく、ホワイトカラーに法定以上の連休を与える会社はあったとしても少数のようで、最終日が近くなるとしっかりUターンラッシュが始まる。

 海南島はここ数年流行りの観光地とあり、年々乗用車での旅行者が増加。海南島への渡航には鉄道という手段あるが、広東省と海南島の間にある瓊州海峡には橋がかかっていないため、結局は鉄道も乗用車と同じくフェリーで運ばれる。2015年から2017年までに海南島を出入りした自家用車の数は以下の通りだ。

2015年 39.1万台
2016年 57.4万台
2017年 68.5万台
 今年は83万台に達するだろうとの予測で、単純に半分としても40万台以上は海南島を訪れている計算になる。当然飛行機で遠方から訪れる中国人もいるだろう

 春節期間中、この瓊州海峡は濃霧が継続して発生し、フェリーが相次いで欠航。Uターンが始まった20日未明ごろからフェリーに乗船しようとする乗用車で港付近が渋滞を始めた。

 20日午後2時からフェリー待ちの渋滞に並び出した何さん一行。海口市が8万人分の食料や水分を配給、また医療チームが結成され万一に備えたこともあって、国歌斉唱などのイベントには発展しなかったようだ。

 何さん一行は一夜を車内で明かし、翌21日の午前9時にようやくフェリーに乗り込むことができた。ただし、広東省側へたどり着いても、自宅のある四川省成都まではまだ1600キロの道のりが待っている。

 高速道路が整備され、自家用車での旅行がやりやすい環境になったとはいっても、1000キロ単位の往復というのはなかなか信じがたいものがある。

 どうにかして家に帰ろうと、飛行機のチケットを取ろうとした旅行者が殺到。チケット価格は高騰した。例えば、三亜発ハルピン行きを例によると、通常は2,000元出せば買えるが、24日の便は2万5000元を超えた(第一経済日報)。ほかの主要都市へのチケットも軒並み高騰している。

 海南航空は3月2日までの増便を決定。88便、1万席近くあまりが用意された。南方航空も24日までに1900席程度を用意。ただし、濃霧の影響は当然空港にも及んだ。21日、22日は全てキャンセルとなっており、2月中はすでに満席とのこと。

 23日の時点では事態も落ち着くと見られていた25日、8000台あまりの車両がまだ乗船待ちを続けている。

 瓊州海峡にも鉄道と道路の両方が共用する橋の建設が予定されているが、現時点での完成は2025年。入島規制をしないと来年以降も起きる可能性は十分あるのだが、海口市は「フェリー乗船待ちのエリアを設けるか検討中」(顧剛副市長)とのことで、規制までは考えていないようだ。
 
==参考消息==
http://www.gov.cn/zhengce/content/2017-11/30/content_5243579.htm
http://www.xinhuanet.com/local/2018-02/24/c_1122446698.htm
http://www.xinhuanet.com/fortune/2018-02/22/c_1122434297.htm
http://www.xinhuanet.com/yuqing/2018-02/22/c_129814602.htm
http://www.nbd.com.cn/articles/2018-02-21/1193372.html
http://industry.caijing.com.cn/20180222/4408092.shtml
http://www.stcn.com/2018/0222/13981341.shtml
http://www.sohu.com/a/223448020_100315
http://finance.jrj.com.cn/2018/02/23082124140828.shtml
http://news.southcn.com/china/content/2018-02/23/content_180881740.htm
http://www.legaldaily.com.cn/society/content/2018-02/24/content_7480097.htm?node=33148
http://cq.cqnews.net/html/2018-02/22/content_43873296.htm
http://www.chinanews.com/gn/2018/02-24/8453716.shtml
http://news.163.com/photoview/00AN0001/2290807.html#p=DBG1NK3200AN0001NOS
http://www.chinanews.com/tp/hd2011/2018/02-25/802272.shtml
ラベル:春節
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