2017年12月19日

習おじいさんは偉大な領袖

 他人のやり方で崇拝されるのは徹底して拒否する習近平だが、自らやる権威確立は手を休めない。

 13日、共青団幹部の1人、傅振邦・中国少年先鋒隊全国工作委員会(全国少工委)主任が北京市南部に位置する、豊台区の小学校を訪れた。全国少工委は共産党ユースの共青団員を目指して、日夜共産主義を学習する少年先鋒隊のよい子たちを管理する部門である。

 と書いてしまうと、少年先鋒隊は幼い頃から共産主義を叩き込まれ、ゴリゴリの共産党員になるエリートコースの入り口にも思える。以前は選ばれるのはクラスに数人だったが、今は全員が選ばれるようになっているし、6歳から共産主義を教えても理解できるわけないし、共産党員が全員少年先鋒隊や共青団出身というわけでもない。

 傅は、『新時代のよき隊員になろう』という、聞くだに悪い予感しかしないイベントでに出席。十九大精神、10月に開催された第19回党大会の精神を、よい子たちに伝える役目をおおせつかっていた。

 このイベントの中で、傅は少年先鋒隊のよい子たちに「十九大を学習し理解するには3つの重点を覚えておけばいい」と話している。

 中国共産党は偉大な党である
 我々が今いる新時代は偉大な時代である
 習近平おじいさんは偉大な領袖である
 習を偉大な領袖呼ばわりした貴州省の地方紙はあっという間に削除されたが、自分がやるのはいいらしい。

 偉大な新時代を先頭で進む偉大な党のトップは結局習近平なのだから、3つとも習近平のことを指していると言っていいだろう。

 共産党のこれまで偉大さと、これからの偉大な予定は繰り返しになるので割愛。習おじいさんの成果として、反腐敗と共に挙げられているのが、南シナ海の人工島建設だ。傅は成果を強調してこう言う。

 中国の陸地面積は960万平方キロあまりだったが、この数年で陸地面積は増えた。どこだろう?

 領土開拓は簡単なことではない。非常に複雑な国際的環境の下、勇気を持って闘争した結果である。

 こんにち、偉大な領袖・習近平おじいさんがいらっしゃることは、国家の大きな幸福だと隊員諸君は知っているはずだ。
 大人たちへの重要講話でもここまで攻めた発言はしていない。

 個人崇拝はやるなと地方に要求しておいて、中央がやるのは頭がおかしいとしか思えないが、勝手に個人崇拝するのがダメと考えるのが、やはり妥当なのだろうか。

 かといって、「江沢民に牛耳られている宣伝部門が、習近平への反感を煽るためにやっている。習本人は嫌がっている」という某法輪功系メディアの主張も、うなづけるものではない。あそこの結論は大体江沢民が悪いで落ち着くからだ。

 さて、と軽く扱っていいのか迷うが、重慶市では重慶師範大学が十九大用の文芸宣講団を作り、宣伝部は全国に習近平の重要思想を伝える『紅色文芸軽騎兵』の拡大を指示している。

 軽騎兵の活動対象になっているのは、娯楽の少ない田舎や工場、軍、辺境、貧困地域なので、我々が思っているより効果はあるのかもしれない。

 となれば、よい子たちへの露骨な宣伝工作も意外と効果はあるのかもしれないのだ。

==参考消息==
http://news.sina.com.cn/c/nd/2017-12-17/doc-ifyptkyk4965546.shtml
http://cn.rfi.fr/中国/20171217-团中央书记少先队员要热爱党-热爱伟大领袖习爷爷 https://news.mingpao.com/pns/dailynews/web_tc/article/20171218/s00013/1513534058869
http://news.xinhuanet.com/politics/2017-12/17/c_1122123146.htm
http://www.cqrb.cn/content/2017-12/17/content_135411.htm
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2017年12月13日

蔡奇のボンクラレベルが笑えないところまで来ている

 党大会以降、北京市の話しかしていない気がするが、全て蔡奇が悪い。というか、蔡奇が話題を提供してくるんだから仕方がない。

 北京市城市(都市)管理委員会は8日、「架空線」、「天際線」の両線整理の現状を発表した。天際線整理について、市内の企業や、党政府機関の看板を約1万4000枚あまりを撤去したと成果を強調している。

 「架空線」と「天際線」が何かわからなかったので、ググってみた。架空線は電線と電柱、天際線はビル群が作り出すシルエットのことらしい。

 北京市は郭金龍が市長時代の2011年に電線と電柱を地中に埋める方針を打ち出し、工事を進めてきた。クモの巣のように張り巡らされたり、巻き取られたホースのように何重にもなっている電線。いずれも景観を損なうとして、電柱付近の電線と同時に撤去を行なっている。


問題は「天際線」の方だ。11月27日に北京市城市(都市)管理委員会などはビルより高い位置に取り付けられていたり、垂直に取り付けられている看板など、関係規約に反した看板を撤去し、綺麗な天際線を取り戻すと宣言していた。

 ビル一棟につき看板1つ、3階以上、屋上から少なくとも50センチ以上下にくるように、などなど違反となる項目は細かい。今、北京市内で空を見上げれば、視界を遮るものがどんどんなくなっているはずなので、さぞかし眺めはいいのだろう。

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※習近平が訪れた包子店もこの通り

 市内の店舗やビルから、看板が根こそぎ剥がされてしまった。市内の一般店舗だけではない。光明日報、中央國際廣播電台など体制側のメディア、網易やテンセントなどのネットワーク企業、三〇四医院の通称がある解放軍総医院第一付属医院(江沢民御用達の三〇一医院は無事)や北京大学人民医院などの病院も、摘発の手からは逃れられていない。新浪は元々撤去するものがなかったのでセーフだった。

 光明日報は毛沢東が揮毫していたし、中央國際廣播電台は鄧小平の筆によるものだ。江沢民が揮毫した文字の入った岩が撤去された、いや移転しただけでしたと騒ぎになったのはほんの2年前だが、三〇一だけ無事なのは違和感を覚える。

 さすがの人民日報も、撤去のやり方が(北京市城市管理委のいうように)本当に科学的なのか、老舗の看板まで画一的に変えていくのは多元性を失うのではないかと疑問を呈している。

 最高人民検察院の機関紙・検察日報も、元から違反しているものと、これまでの条例で問題なかったものが、新規定で問題ありと認定されたものは区別すべきだと、画一的に撤去していく北京市を非難している。

 11日、北京市の足並みが乱れた。清華大学や北京大学など多数の大学がある市北西部の海淀区が、撤去一時停止の通達を出したのだ。

看板撤去時に火事が起こる可能性や、撤去した看板の置き換え追いつかず、生活に影響が出ることを理由に挙げているが、そんなことはやる前からわかっていたはず。三〇一医院が海淀区なのも何かの縁だろうか。

 一方で、そんな通達は聞いていないと反発する人もいたりする。ただ一つ言えるのは、単独でも一発アウトクラスの失策を同時進行させている蔡奇はとんでもないボンクラということだ。


==参考消息==
http://www.bjmac.gov.cn/zwxx/zwdtxx/zwgzdt/201712/t20171208_43382.html
http://interview.qianlong.com/2017/1208/2236414.shtml
http://zhengce.beijing.gov.cn/library/192/33/50/438650/75700/index.html
http://society.people.com.cn/n1/2017/1128/c1008-29670850.html
http://www.bbc.com/zhongwen/trad/chinese-news-42276554
http://cn.rfi.fr/中国/20171209-强送低端人口进行时北京又大拆上万商家招牌引新民怨
http://beijing.qianlong.com/2017/1211/2239187.shtml
https://www.hk01.com/兩岸/140228/北京拆萬塊天際線廣告牌-環時-民眾反感-運動化-社會治理行動
北京海淀暂缓拆牌匾 已拆的经批准可重设
http://chuansong.me/n/2078214643322
http://china.caixin.com/2017-12-11/101183677.html
http://opinion.huanqiu.com/hqpl/2017-12/11436449.html
http://www.thepaper.cn/baidu.jsp?contid=1896629
http://law.southcn.com/c/2017-12/11/content_179514326.htm
https://web.archive.org/web/20171212215120/http://new.qq.com/omn/20171210A0HSQA.html
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:5AHl8Nu7gUEJ:www.bjnews.com.cn/news/
2017/12/11/468116.html+&cd=1&hl=ja&ct=clnk&gl=jp&client=safari
ラベル:蔡奇 北京市
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2017年12月08日

朝鮮半島で核が使われても中国はまあ安全、らしい

 吉林省委の機関紙・吉林日報は6日、『核兵器の常識と身を守る方法』を掲載した。見出しの通り、核兵器とは一体何なのか、また実際に核兵器が使用された場合自分たちはどうやって身を守ればいいのかを紹介している。

 地方紙ではあるが、朝鮮と国境を接する吉林省が核兵器から身を守る方法を指南すれば、朝鮮の危機は目の前に迫る現実なのかと読者が考えるのは当然だろう。

 反響が大きかったのか、吉林日報と省人民防空弁公室は、国防教育のシリーズ物で、どこの国でもやっていると説明をしている。朝鮮情勢が緊迫化している今はいかにもタイミングが悪い。

 それでもここまでなら、納得はいかなくても時間の経過とともに関心は薄れていって終わりになる話だった。
 環球時報は煙の立たないところにわざわざガソリンをまいて、火をつけては、火の勢いが強まると慌てて消化する行為を繰り返している。今回も訳知り顔で首を突っ込み、大炎上した。

 『核兵器の常識を吉林日報が報道した状況とは』で、朝鮮情勢について5点にわけて説明しているのだが、筆が滑るのだろうか。滑りすぎな気もするが、特にひどい3点目と5点目を訳してみた。

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※キャッシュでしか見られない社説

(3)朝鮮戦争が起これば、韓国がまず武力報復になるだろう。同時に、日本や米国のアジア太平洋地域の基地も、第一陣の報復目標となるかもしれない。

 中国の国土が直接巻き添えを食う可能性は、上述の目標、特に韓国の次だ。
(5)ソウルと東京は半島で戦争が起きた場合、危険なゾーンとなる。両都市では日常的に準備をしている。中国東北部は地政学上、朝鮮に密接している。この点は韓国と似ている。

 しかし、戦争に巻き込まれても韓国よりは安全だ。今は冬で、半島は西北からの風が吹くことが、東北地区にとって有利な要因だ。

 吉林省唯一の不利な要素は、豊渓里(プンゲリ)核実験場に近いことだ。


 状況を理解しててこの説明なのかも疑問だが、記事を読んで、なんだ安心じゃないかと楽観視するような低脳な読者ばかりなのだろうか。

 9月に6回目の核実験が行われるや、朝鮮に近い東北三省(吉林省、遼寧省、黒龍江省)の放射能汚染を物凄い勢いで調査していたのは記憶に新しい。西北の風、などと孔明みたいなことを書いてて大丈夫なのだろうかと心配になる。

 そもそも韓国に比べて安全というだけで、東北が完全に安全というわけでもないのに、酷い記事だと思う。

(4)もひどくて、「大国の中国に核攻撃を仕掛ける国は無いよ」という謎の自信に満ちている。 じゃあTHAAD配備してもいいでしょうに。

 人民日報傘下として紹介されることが多い環球時報。こんなアホみたいな社説を書いては削除されることも多いが、誰かの本音がポロッと出てる時もあって見限れないのがつらい。

==参考消息==
http://jlrbszb.cnjiwang.com/pc/paper/c/201712/06/content_43444.html
http://news.sina.com.cn/c/nd/2017-12-06/doc-ifypnyqi1238808.shtml
https://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:6uK3EpBWXf0J:https://m.huanqiu.com/r/MV8wXzExNDI3MjE0XzI4Ml8xNTEyNTM5MjIw+&cd=1&hl=ja&ct=clnk&gl=jp
http://www.mep.gov.cn/gkml/hbb/qt/201709/t20170903_420821.htm
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