2017年04月03日

演説原稿の読み間違え

 中国語を習いたてのころ、読み方を気をつけるよう言われたのを今でも覚えているのが、与えるという意味の「給予」です。

「給」単独では「gěi」と読むので「gěi yǔ」となりがちですが、実際は「jǐ yǔ」。長年中国人をやっている妻も「gěi yǔ」と読んでいたのて、ネイティブでも犯しがちな読み間違いなのかもしれません。

 中国メディアは、誤読を誘いやすい漢字には読み方をピンインでカッコ書きしてくれます。それでも、誰にでも読み間違いはあるものです。

 最近ですと、安徽省にある「亳」(bó)州市の例があります。

 「亳」は否定文やミリリットルなどの単位を漢字で表記する際に使用する「毫」(háo)と似ているため、ずっとháo州と誤読され続けていました。BBCも普通に毫州と書いてて、それをそのままコピペした私も大恥をかいたことがあります。

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※宣伝効果はあったのか

 中国の紅白ともいうべき春晩に、地元酒造メーカーが「安徽亳(bó)州」とクレジットを出したこともあり、地元の認知不足に対する焦燥感みたいなものが伝わってきます。

 亳州市宣伝部の元幹部は、そもそも地元の知名度が無く、経済発展をして多くの人に正しく読んでもらうしかないと半ば諦めモードなのですが、地元は諦めずにちゃんと読んでもらうためのイベントを開催したり、地道に努力を重ねているようです。

 ただし、誰にでもある間違いとはいえ、完璧超人でなければならない党員幹部になるとメディアの当たりも厳しくなります。

 上海市委機関紙の解放日報が、「最近、ある党員が『飲鴆止渴』(喉の渇きを癒すため、毒をあおること。)を『飲鳩止渴』と読み間違えた」と批判。読み間違えをよくやるという阮成発・雲南省省長のことで、解放日報は「ネットが普及した昨今、この手の間違いはすぐ広まる」とお怒りです。

 阮は昨年12月にも滬昆高速鉄道の開通式で、滇(diān)越鉄路を鎮(zhèn)越鉄路と読み間違え、また2月にも撫仙(xiān)湖を撫優(yōu)湖と読み間違えています。任地である雲南省について全く勉強していない阮の解任を求める書簡が、20名以上の退職党員の連名で中央組織部に出されたとのこと。

 阮は武漢生まれ。党員となってからもキャリアを湖北省で積み上げてきたとは言え、滇は雲南省の略称、別名ですし、撫仙湖も省内の有名な湖ですから、地元の党員が怒るのも無理はありません。

 演説で使われるような四字熟語は、話し手のインテリジェンスを感じさせるために多用される一方で、ライターが頑張り過ぎた結果誰も意味が分からないような熟語を使って、出展や用法をわざわざ補足説明する記事が出る場合もあり、加減が難しいところです。

 ただし、『飲鴆止渴』は中学校で習うので、この件に関しては阮の個人的な資質に帰する気もします。博士号持ちなのにという声もあるようですね。

 そういえば我らが習大大も、昨年のG20で四字熟語を言い間違えをしてました。当該の記事はもちろん修正され、動画は削除されるといういつもの対応でした。

 演説後、妻の彭麗媛が王滬寧、栗戦書、劉鶴を呼び出して、原稿の責任者である王、劉に「なぜあんなマイナーな熟語を使ったのか」と、栗には「練習の際気付かなかったのか」と詰め寄ったという話が大好きです。習近平の無学より、嫁のがぶり寄りに目がいってしまいます。

==参考消息==
http://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_1433967
http://news.xinhuanet.com/food/2016-08/08/c_129213769.htm
http://newspaper.jfdaily.com/jfrb/html/2017-03/30/content_18235.htm
http://www.soundofhope.org/gb/2017/03/27/n814108.html
http://cn.rfi.fr/中国/20160906-习近平错读“通商宽农”为“通商宽衣”被指没文化
http://www.voachinese.com/a/news-trump-treats-obama-with-sarcasm-20160907/3497408.html
タグ:習近平
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2017年03月25日

習近平の神話作り

 3月18日。晋江市の発展を習近平の指導のたまものとする記事が、人民日報一面の一番いいところに掲載されました。zzm大先生の感想には首を縦に振らざるを得ません。

 現在まで晋江の発展が続いていることから、それは2001年の晋江の発展を当時の福建省長だった習近平が2002年に総括したものが「晋江経験」と呼ばれ、現在まで晋江の発展が続いている要因がさも習近平の総括によるものであるかのように宣伝されている。しかしこの記事は2010年以降の晋江の発展の宣伝が大部分を占めており、習近平の直接的な指導によって晋江が発展したというものではない。習近平の県域経済発展理論のテーゼ化を図り、経済面での指導力を宣伝し、権威を高めようとしている。
 習近平が晋江経験を打ち出したのが福建省を離れた2002年で、じっさいに晋江の繁栄が語られるのは2011年からという荒技を使う記事に仕上がっています。これで権威が高まるのかは不明。

 19日からは3夜連続で、『習近平総書記の初心を追い求めて』が放送されました。

 初心は建党95周年の習近平演説で、「全党の同志は初心を忘れてはならない」などと10回にわたって使われた単語で、では習近平自身の初心はどうなのかというアンサーソングみたいな特集です。

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※二百斤=100kgの計算がおかしいのか

 下放されていた1970年代時代、「100kgの麦を、担ぐ肩も変えず5kmの山道を担いで歩いた」と豪語する福建時代の習近平さん。おじさんは浙江時代に「タバコ吸う時はサボれるからしょっちゅうタバコ吸ってた」とも言ってますし、あんまり役に立ってなかったのでは。

 そもそも100kgも担いだら天秤棒が肩に食い込んでその場から一歩も動けんわ、としか言いようのないエピソードを再度掘り起こす中央テレビの気がしれません。

 両会開催直前には、新華社が『習近平総書記貧困支援の深層意識』、人民日報が「人民代表習近平」で、全くの別人が労働する姿を捉えた写真を習近平だと紹介しています。

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※普通に習近平じゃないし

 クレジットには「延川県委宣伝部提供」とありますが、実際は2002年に工人出版社から刊行された『守望記憶/中國知青民間備忘文本』という本に著者の龐沄さんが提供した写真。写っているのも龐沄さん。習近平と同じ北京101中学の学生で、1978年に北京科技大学に入学している人物です。

 問題の写真はさすがにまずかったのか現在は削除されています。首くらいすげ替えているのかと思ったら、素材をそのまま使用してて二度驚いてしまいました。

 提供者が存命の内に写真を使ってしまうような宣伝部のレベルが落ちているのもあるでしょうが、神話を作れるほど神秘的な生き方をしてこなかった習近平さんに問題があるのではないかと。

==参考消息==
http://blog.livedoor.jp/zzmzhchina/archives/1065115071.html
http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2017-03/18/nw.D110000renmrb_20170318_2-01.htm
http://news.xinhuanet.com/politics/2017-03/19/c_129512760.htm
http://news.xinhuanet.com/politics/2017-03/20/c_1120655955.htm
http://news.xinhuanet.com/politics/2017-03/21/c_1120666762.htm
http://news.xinhuanet.com/politics/2016-07/01/c_1119150660.htm
http://news.ifeng.com/a/20140612/40711723_0.shtml
http://hk.apple.nextmedia.com/international/art/20170324/19968095
タグ:習近平
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2017年03月19日

【追記あり】3·15晚会の煽りに乗った新京報のデマ記事

 消費者の権利を促進するために指定された、世界消費者の権利の日。毎年3月15日になると、中央テレビでは3·15晩会という番組が放送されます。

 放送が開始された1991年当時はホットラインで視聴者からの苦情を受け付けるという、電話でリクエストを受け付けていた春晩に近いスタイルでしたが、近年はマクドナルド、アップル、ニコンなど、中国に進出している外資系企業が槍玉に挙げられ、いずれも最終的には無条件降伏状態での対応を余儀なくされています。

 外資はどうしても目を引きますし、日本で取り上げられるのは当然日本に関係のある企業となるので、外資ばかりがターゲットになっているような印象を受けますが、中国人消費者の権利を守るのがそもそもの眼目ですから、取り上げられる点数は中国国内の企業が大多数です。

 昨年はフードデリバリーの仲介をするサイト「飢了麼」は、店舗の厨房がとんでもなく汚れていたのにサイトでは実情とはまるでかけ離れた写真を掲載していたなどとして、透明な取引をうたっていた中古車販売のマッチングサイト「車易拍」は、売り手が受け取る金額が買い手の支払った購入金額より低く、手数料と二重取りしているなどとしてそれぞれ批判を受けています。

 今年は放送の2週間前に韓国企業のロッテが、迎撃ミサイルシステムのサード配備の土地提供を申し出たため、ロッテ、あるいは韓国企業の批判が中心になると指摘する向きもありましたが、ロッテへの反日デモを彷彿とさせる動きを拡大させたくないでしょうから、それはないのではと見ていました。

 今年は直接外資が批判されることはなかったものの、深センのECサイトで扱っている日本産食品の産地は、中国が禁止している放射能汚染地域なのではと、いくつかの商品が名指しで取り上げられています。

 東日本大震災直後の2011年4月、中国政府は福島、群馬、栃木、茨城、宮城、山形、新潟、長野、山梨、埼玉、東京、千葉の12都県からの食品、農産品、飼料の輸入を禁止する公告を出しています。11月に山梨と山形が除外された後も、残りの10都県への規制はそのままとなっています。

 無印良品の2品番とイオンで陳列されていたサトウのごはん。中国語のラベルを剥がして日本語の表示を見ると、規制地域の住所になっていると批判しているのですが、これらはどちらも製造者たる無印良品とサトウ食品の本社所在地です。

 特集の前半で、中国の中堅ECサイトが中国国内で販売していると指摘を受けた日本製の食品は、一体どこで製造されたのかとECサイトとザル税関の関係を示唆する内容でした。

 パッケージに記載されている製造者の住所は本社所在地であり、別に記載がある工場コードから製造地を割り出す手間もかけていたのですが、無印やサトウの件は暑かった担当者が別なのか、製造者の住所を「真実の住所は核汚染された新潟県」と、急に頭が悪い反応を見せています。

 無印は公式微博で、公告が禁じる規制地域の食品は一切輸入しておらず、原産地証明は上海出入境検査検疫局に提出していると説明しています。サトウ食品も公式サイトで、当該品は北海道工場で生産されたものと説明。原材料も北海道産なので問題ありませんね。

 名前を出された上海出入境検査検疫局も、無印良品の製品2点は禁止地域からのものではなく、同社の輸出記録からも禁止地域の製品はないとの声明を発表。また、北京市でも今の所禁止地域の製品は見つかっていないとのことです。

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※自信があれば記事は削除しないでしょう

 本来は税関が番組を潰した、晩会の制作に噛んだ中央省庁の面子丸つぶれみたいな感じで締めようかと思ってたんですが、新京報がえげつない記事を書いていたのでこちらを紹介しておきます。

 3·15晚会が放送された翌日、尻馬に乗って「日本は帝都で大量の人体実験をしている。外国人旅行者が東京で汚染された水を飲み、食事をしている。泊まるのも汚染地域のホテルだ」と最大級のデマ記事を書いていたのを発見したので、日本政府はさっさと抗議するべきだと思います。

==参考消息==
https://www.youtube.com/watch?v=bXyEnysV-Hg
http://jingji.cctv.com/2016/03/15/ARTIURYooAKcyQr6KVbMPfTr160315.shtml
http://jingji.cctv.com/2016/03/15/ARTIlb84QEaHZBO8QAqA30tx160315.shtml
http://jingji.cctv.com/2017/03/15/ARTIEHSqy7oOlTBWpnU7jEN9170315.shtml
http://www.aqsiq.gov.cn/xxgk_13386/jgfl/jckspaqj/zcfg/201210/t20121016_251315.htm
http://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_1641155
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF24007_U1A121C1EE1000/
http://www.weibo.com/2114134034/EA2qHFsbm?from=page_1006062114134034_profile&wvr=6&mod=weibotime&type=comment#_rnd1489849774591
http://www.satosyokuhin.co.jp/images/corp/pdf/release/20170317_release.pdf
http://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_1640603
http://www.aeonchina.com.cn/2017/operation/315晚会相关报道声明/
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:lVu2inMrS6MJ:www.bjnews.com.cn/opinion/2017/03/16/436696.html




 というご指摘をいただきました。当該部分を訳出します。

 我が国の国家品質監督部門は日本の核汚染地域の食品を輸入禁止とすることは、我が国国民の健康に対する責任ある態度だ。核汚染地域の食品が重大な危害をもたらすかは別の問題だ。

 仮に、無印良品が販売する食品の産地が東京都なのであれば。東京都は日本の首都東京だ。北京市の五環の内側に相当する。福島の核漏れ事故後、日本人は自分たちの帝都で大量の人体実験をしていることになる、外国人が東京を訪れれば、口にするのは核汚染地域の水で食べ物だ。泊まるのも核汚染地域のホテルだ。

 だから、ラベルの製造地が曖昧なのは、安全に対する問題が必ずしもあるわけではない。問題があればそれを論じる。我々はパニックに陥る必要はない。また、「自分を滅ぼそうとする気持ちは消えていない」などという陰謀論で解釈する必要もない。

  無印良品はこの件において、最も実質的な問題は、なぜ輸入が禁止されている製品を輸入したのか、なぜ「無良印品」を貼って消費者に情報を隠したかである。

 だから、この問題において、無印良品の誤りは大体2つに分けられる。1つ目は違法の疑い、2つ目は信用失墜。つまり消費者を騙したことだ。
 落ち着いて読み返すと筆者の意図は明らかなのですが、2日前の私は読み取る力がなかったようです。筆者の意図を歪めてしまったことを謝罪いたします。
posted by aquarelliste at 01:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする