2018年01月02日

紀律検査委が司法に介入

 呉継徳という男がいる。甘粛省委統一戦線部副部長(正庁級)まで務めたが、3年前に紀律違反で党籍を剥奪された。

 罪状は収賄、公金横領、銀行預金の違法な吸い上げ、職権乱用、迷信活動など。収賄額の総額8000万元近いのはこのクラスの党員としてはちょっと多いが、蘭州市副市長時代に都市建設を担当していたので説明はつく。在任中は許認可権を思い切り駆使していたのだろう。

 呉は2017年1月に開かれた一審で懲役16年の判決を受けているが、金額からすればそんなものだろう。大抵の党員は判決に服すと記事に書かれて刑が確定するが、呉は受け入れたのかどうかがはっきりとしなかった。

 判決を不服とした呉は「多数の証拠があり、『銀行預金の違法な吸い上げ』と『職権乱用』は成立しない」(呉の弁護士)として控訴したのだ。二審でこれが通れば、4,5年は刑期を短くできるとの見通しもあった。

 二審の甘粛省高級法院は一審の判決を覆し、『銀行預金の違法な吸い上げ』と『職権乱用』を取り下げたが、この件が省紀律委に報告されると呉の案件を調査した担当者2人が、一審の判決を維持せよと口頭で二審に告げて来た。

 担当者の1人、崔銀剣は「紀律委がやるように判決を下せばいいのだ」と、高級法院の副院長に判決の書き換えを要求してきた。明らかに越権行為だが、崔は「正常なルート」と強調、取材した明報の記者を「常識を少しもわかっていない」と非難してきた。

 紀律委が司法に介入するのは当たり前という意味なのか。呉の弁護士は紀律委2人が介入してきた証拠をまとめ、上級機関の中央紀律検査委に通報したが、呉は楽観視していない。呉も20年ほど前に紀律検査部門に籍を置いていたからなのかもしれない。

==参考消息==
https://news.mingpao.com/pns/dailynews/web_tc/article/20171223/s00013/1513965691830
http://www.ccdi.gov.cn/special/zyxszt/dshiyilxs_zyxs/agls_xs11_zyxs/201704/t20170428_98338.html
http://www.ccdi.gov.cn/scdc/sggb/djcf/201607/t20160704_117597.html
http://gansu.gscn.com.cn/system/2017/01/09/011580695.shtml
ラベル:紀律検査委
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2017年12月30日

政治的に正しくない地図はご法度

 国家工商行政管理総局は、2017年第3回目となる広告法に違反した事例の発表を行った。

 事例は15挙げられているが、上海華與華營銷資訊有限公司が犯したという、(3)の事例が気になった。

 「雑誌の広告用に作られた中華人民共和国の地図の国境線が完璧、正確ではなく、国家の尊厳と利益を損ねた」ことが、広告法第9条に抵触したため、広告収入8.8万元と100万元の罰金を課せられたとある。

 広告法第9条1項には、「中華人民共和国の国旗、国家、国章、軍旗、軍歌、軍章を使用もしくは形を変えること」はしてはいけないとはあるものの、地図については記載がない。

 1項ではなく、4項の「国家の尊厳もしくは利益を損なった」が適用されたのだろうが、これだと何でもありな気がする。

 多分南シナ海の九段線を書き忘れていたとかそんなところだろうが、実物の問題点を見せないまま違反しましたと言われても納得いかないので、どこかに実物がないか探してみたらあった。

 記事によると、以下の原因が挙げられるという。

 インドと中国の係争地であるアクサイチン地区が中国領になっていない
 中国が認めていない、インドとの国境線・マクマホンラインで国境線が描かれている
 南海諸島、尖閣諸島などが無い
2018123001.jpg
政治的に正しくない地図

 国境線や九段線はともかく、このサイズの地図で尖閣諸島を描き込んでもわからない。因縁以外の何物でもないし、公式でも九段線を書き込み始めたのは最近だろという気もする。

 なお、100万元の罰金は、広告法では最高額となっている。今回は罰金で済んだが、判断によっては営業許可証の剥奪などもありうるので、「正しくない」地図を見せしめとして吊るしあげたのだろう。

2018123002.png
一帯一路公式から

 公式がどうやっているのか確認したところ、国境線は描かず、南シナ海や尖閣などは上手いこと隠していた。さすが公式である。

==参考消息==
http://www.npc.gov.cn/npc/cwhhy/12jcwh/2015-04/25/content_1934594.htm
http://www.saic.gov.cn/xw/yw/zj/201712/t20171221_271343.html
http://mini.eastday.com/a/171228194911989.html
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2017年12月19日

習おじいさんは偉大な領袖

 他人のやり方で崇拝されるのは徹底して拒否する習近平だが、自らやる権威確立は手を休めない。

 13日、共青団幹部の1人、傅振邦・中国少年先鋒隊全国工作委員会(全国少工委)主任が北京市南部に位置する、豊台区の小学校を訪れた。全国少工委は共産党ユースの共青団員を目指して、日夜共産主義を学習する少年先鋒隊のよい子たちを管理する部門である。

 と書いてしまうと、少年先鋒隊は幼い頃から共産主義を叩き込まれ、ゴリゴリの共産党員になるエリートコースの入り口にも思える。以前は選ばれるのはクラスに数人だったが、今は全員が選ばれるようになっているし、6歳から共産主義を教えても理解できるわけないし、共産党員が全員少年先鋒隊や共青団出身というわけでもない。

 傅は、『新時代のよき隊員になろう』という、聞くだに悪い予感しかしないイベントでに出席。十九大精神、10月に開催された第19回党大会の精神を、よい子たちに伝える役目をおおせつかっていた。

 このイベントの中で、傅は少年先鋒隊のよい子たちに「十九大を学習し理解するには3つの重点を覚えておけばいい」と話している。

 中国共産党は偉大な党である
 我々が今いる新時代は偉大な時代である
 習近平おじいさんは偉大な領袖である
 習を偉大な領袖呼ばわりした貴州省の地方紙はあっという間に削除されたが、自分がやるのはいいらしい。

 偉大な新時代を先頭で進む偉大な党のトップは結局習近平なのだから、3つとも習近平のことを指していると言っていいだろう。

 共産党のこれまで偉大さと、これからの偉大な予定は繰り返しになるので割愛。習おじいさんの成果として、反腐敗と共に挙げられているのが、南シナ海の人工島建設だ。傅は成果を強調してこう言う。

 中国の陸地面積は960万平方キロあまりだったが、この数年で陸地面積は増えた。どこだろう?

 領土開拓は簡単なことではない。非常に複雑な国際的環境の下、勇気を持って闘争した結果である。

 こんにち、偉大な領袖・習近平おじいさんがいらっしゃることは、国家の大きな幸福だと隊員諸君は知っているはずだ。
 大人たちへの重要講話でもここまで攻めた発言はしていない。

 個人崇拝はやるなと地方に要求しておいて、中央がやるのは頭がおかしいとしか思えないが、勝手に個人崇拝するのがダメと考えるのが、やはり妥当なのだろうか。

 かといって、「江沢民に牛耳られている宣伝部門が、習近平への反感を煽るためにやっている。習本人は嫌がっている」という某法輪功系メディアの主張も、うなづけるものではない。あそこの結論は大体江沢民が悪いで落ち着くからだ。

 さて、と軽く扱っていいのか迷うが、重慶市では重慶師範大学が十九大用の文芸宣講団を作り、宣伝部は全国に習近平の重要思想を伝える『紅色文芸軽騎兵』の拡大を指示している。

 軽騎兵の活動対象になっているのは、娯楽の少ない田舎や工場、軍、辺境、貧困地域なので、我々が思っているより効果はあるのかもしれない。

 となれば、よい子たちへの露骨な宣伝工作も意外と効果はあるのかもしれないのだ。

==参考消息==
http://news.sina.com.cn/c/nd/2017-12-17/doc-ifyptkyk4965546.shtml
http://cn.rfi.fr/中国/20171217-团中央书记少先队员要热爱党-热爱伟大领袖习爷爷 https://news.mingpao.com/pns/dailynews/web_tc/article/20171218/s00013/1513534058869
http://news.xinhuanet.com/politics/2017-12/17/c_1122123146.htm
http://www.cqrb.cn/content/2017-12/17/content_135411.htm
posted by aquarelliste at 09:21| Comment(0) | 消息 | 更新情報をチェックする