2017年09月23日

十九大人事の件

 第19回党大会の開催が10月18日に決定した。という枕で、そろそろ人事予想をしないと、と書き出したのが9月初め。気が付けば党大会までもう3週間余りしかないではないか。

 もうしばらく経てば、明報あたりからリーク人事が流れてくれば予想もへったくれもなくなってしまうので、早速時期人事予想を進めていく。基本的に根拠レスなので、温かい目で見ていただければ幸いだ。

 焦点はやはり王岐山の留任だ。書記を務める中央紀律検査委員会は、今期回った277団体への巡視を来期も行うと明言しているが、彼が次の5年間もその指揮をとるのか。

 春あたりから習の身辺調査を受けている、王の妻は米国籍だ、王の甥が海南航空から資金を借りて海外投資に手を出しているなどと主張する者が現れた。しかし、王が一番危ないとされた8月下旬には、王と仲良しの財新が動向を報じたり、義父である姚依林の生誕100周年集会には件の甥も姿を見せた。王を守る姿勢があることがうかがえる。

 ただ、本人からは退任を匂わせる発言も出て来たり、退任前とすれば会う必要がないのに、リー・シェンロンやバノンが会いにきたりなど、もう何がなんだかわからなくなってきている。

 党大会の時点で68歳以上だと常務委員には選出されない内規があると我々は推測してきたが、昨年それを公式に否定するような発言があった。

 また、全国に31ある地方自治体トップの書記は、5年前と比べて2歳以上平均年齢が上昇しているデータもある。自治体首脳となる党委員会常務委員に範囲を広げても1歳以上上昇しているのだ。

2017092601.png
平均年齢が上昇しているデータ

 1980年に鄧小平が提唱した「幹部4つの現代化」(幹部四化)。革命化、若年化、知識化、専門化を指す。幹部は革命的であると同時に専門的知識を持たなければならず、そして若くなければならない。これが党員の選抜方法の指針であった。

 常務委員や政治局委員の平均年齢は10歳前後下がったし、高学歴化も進んだ。年齢による足切りもあるという。しかし、この5年間だけを見れば幹部の老化は現実となった。党員選抜の年齢基準はある程度幅を持たせるようになったと見ていい。

 ここからは思い切り主観が入るので注意していただきたい。

 王岐山が常務委員に留任した場合、中央紀律検査委書記を続けるか、総理となるかの二択以外にない。全国人代委員長などをやらされるなら、王は退任を選ぶはずだ。留任の意味がない。

 中紀委書記続投なら、栗戦書の行き場がなくなる。王に次ぐ習腹心の栗が、中央弁公庁主任のまま足踏みすることは考えられない。少なくとも常務委員昇格は硬い。ではどのポジションがふさわしいか。

 昨年、反腐敗関連の発言が一気に増え、王の補佐をやっているとの報道があった。これではないか。他に任せられる人物は、政治局を見回してもいない。

 中紀委書記の職務が体力的に楽とは言えないが、栗も今年67歳。従来のように習の外遊や国内視察にお供するよりはまだ楽なはずだ。王岐山は副総理を兼任中にロシアを一度訪問しているが、中紀委書記専属となってからは中国から出ていない。国内視察も公の会議も極めて少ない。常務委員全員集合イベントや葬式だけに顔を出していれば大丈夫だ。

 王岐山が総理になれば李克強は当然全国人大委員長しか行き場所がなくなる。一期で総理を降ろされれば、就任前から経済が分からないと評判で、前評判通りに経済が分からないままだった李鵬以下の扱いになる。李鵬でも二期10年を勤め上げた。

 前半は姚依林、後半は朱鎔基という経済につおい副総理に支えられてではあるが、李鵬でも二期10年を勤め上げた。1993年には全国人大委員長に転任し、朱鎔基が総理に就任するとの話もあったが、李鵬でも二期10年を勤め上げたのだ。

 特に失策があるわけでもなく、そもそも実権があるかどうかも怪しい李克強に詰め腹を切らせるのは酷だろう。経済政策はすでに習近平が主導権を握っているのだから、王岐山がわざわざ総理をやらなくてもいいはずだ。

 次期の中紀委書記は国家監察委員会を兼任する。具体的な権限は不明だが、王岐山がいなくてもいいように権力を強化したのではないのか。

 王岐山の常務委員留任と中紀委書記続投は無いとここで明言しながら、肝心の人選については次回。

==参考消息==
次期常務委員を予想してみる2(2011年08月23日)
次期常務委員候補の整理(2015年06月29日)
十九大人事予想・前提(2016年09月26日)
十九大人事予想・定年は引き上げ方向(2016年12月11日)
ラベル:十九大 王岐山
posted by aquarelliste at 23:41| Comment(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

2017年08月22日

王岐山が院士につれない件

 一昨年には開催中、「引退した老人(主に江沢民)は潔く身を引け」攻撃があった北戴河会議。今年は何事もなく終わったようだ。

開催中と思われる期間中、次の5年間を争う韓正や胡春華、王毅のアピールタイムと化したのは笑えた。政治局委員や閣僚と言えども、いつもは指導部7人の動向に隠れてほぼ目立たないが、会議開催期間中7人とも姿を見せないので、余計に悪目立ちしてしまっていた。効果のほうはわからない。

 老人代表である江沢民の最新動向は、5月の上海交通大学視察だ。息子が校長を務める同校の公式サイトでも紹介されていない。これまで、引退した指導部の動向は報道こそされてはいなかったものの、訪問先のサイトではしっかり紹介されていた。ついに老人(主に江沢民)の政治干渉を排除したと見ていいのかもしれない。

 胡錦濤にそういう力は無いので、習一強体制は揺るがなくなってきた。主席制の復活や常務委員制度の廃止なども、それほど現実離れした話では無くなってきた。

 ロシアのように総書記から名目上一度外れて、また二期在任するのかなとも考えていたのだけれど、主席制と一緒に付いて回るのは終身だ。創業者一族に経営権が戻り、間を空けずとも三期でも四期でもどうぞ状態なのか。ヒラ党員の蔡奇を北京市トップにつけたり、人事面では明らかに優勢な今の習なら、それもありうるのかもしれない。

 これまで習に一番近いとされ、彼が常務委員に居座ればまず習の超長期政権は間違いないと考えていた王岐山。4月ごろから汚職、さらには習が王の身辺を捜査させているとささやかれている。ささやいているのは1人だが、なぜか各メディアは引退の可能性を示唆するようになった。

 習政権発足まもなく、習とは50年来の知己と紹介され、自身は建国の功臣一族たる紅二代ではないものの、紅二代扱いされる王。彼を今更切り捨てるような人間なら、今後は誰もついていかなくなるし、これまで反腐敗を仕切ってきた王を切ることは反腐敗の正当性を自ら揺るがす行為だと思うがどうか。

 北戴河閉幕後、王岐山がある院士の葬式にお花を出していないことがわかった。王が長期間姿を消すのは虎退治の算段をするためと相場が決まっているが、まさかの失脚かとも言われている。半年前なら後者の可能性は誰も考えなかったが、今ではわずかながらも信憑性があるように思えてしまう。ご指名があったので、どういうことなのか説明しておきたい。

 葬式にお花を出す行為は、生前の故人との付き合いが良好だったかどうかによる。それが肩書き上必要なお付き合いなのか、個人的なお付き合いなのかにもよるが、縁もゆかりもない人には花を出さないのは日本でも、中国でも同じだ。

 後者でわかりやすい例では、習の母・斉心だ。彼女は総書記の母とは書かれないものの、誰もが周知の事実。訃報記事でお花を送っていれば、夫で習の父・仲勲の生前から、家族ぐるみで付き合いがあったか、少なくとも習一族と良好な関係であることはうかがうことができる。


 王岐山がお花を送らなかった院士とは、名誉色しかないが副大臣級(副省部級)待遇の特典が付与される学者界最高の称号のことだ。文教担当の劉延東や、教育部長を務めていた陳至立が花を送っている。院士の人事権は中央組織部にあるので、趙楽際・組織部長の名前も出てくるし、航空関連の科学者に解放軍のお偉方が花を送っているのは、個人的付き合いがあるにせよ、まずは公的なポストが彼ら院士に関わってくるためだ。

 今回、王岐山は常務委員で唯一お花を送っておらず、時期も相まって目立った格好だが、院士の葬式にお花を送らなかったのはこれが初めてではない。

 「院士」「花圏」「習近平」などのキーワードでググってみたところ、以下のような結果となった。本来であれば習体制以降に挙行された、院士の葬式全てをまとめてみたかったが、これだけでも傾向のようなものはつかめるだろう。

2017082202.png
※院士の葬儀一覧という謎のリスト

 ○はお花を贈った、慰問の電話をした、入院している病院に見舞いに行ったなど、とにかく故人に対して何らかのアクションを起こしたことを意味する。王岐山先生は16人中たったの2人。送った方がレアケースで、ここまで清々しいと院士に対して個人的な恨みがあるとしか思えない。

 王岐山ほどではないが、兪正声も不義理っぷりが目立つ。全国政協主席というポストの性格上、非党員の院士には皆勤賞かと思いきやそうでもないし、基準がよくわからない。

 王岐山がお花を送った2人との関係も不明なままなのだが、おそらくはこれが王の平常運転なのだと考えるしかないだろう。そのうち親切な香港紙が教えてくれるかもしれない。
ラベル:十九大
posted by aquarelliste at 23:07| Comment(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

2017年08月12日

南方航空が漏らす西安市の紀律違反

 南方航空が西安市指導部のために、豪快なサービスを行なったことが話題を呼んでいる。元の文章は削除されてしまっているので、キャッシュで確認してみた。

2017081201.jpg
南方航空の「いい仕事をした」感じが溢れる記事。現在は削除されている

 7月26日、南航(中国南方航空)西安支店営業部カスタマー所は、尋常ではないサービスを要求する電話を受けた。

 「66人の一団を、8月6日の西安発成都行CZ6433便に手配してほしい。また、全員を11列目までの席を用意してほしい」(後略)
 電話を代わった当番の胡組長は、西安市のお偉方が含まれていると判断、当該便は12列目以降を売るよう指示した。

 胡の勘は当たっており、政府団体66人の名簿からは、西安市委書記、市長、政協主席ら市の常務委員が多数登場することがわかった。彼らにはビジネスクラスの利用を勧める一方、「多くの部署が残業を行なって座席を確保」し、当日は支社長も休日出勤する中、西安市首脳部を乗せた便は無事フライト。「乗客の賞賛と信用を得た」と締めくくられた文章は、南方航空のやりきった感に満ち溢れている。

 6日に市委書記、市長、市政協主席を含む西安市の一行が成都にいたのは事実。地元企業に西安への投資を呼びかけたことが記事になっている。この後重慶や南京にも行っているのだが、成都から南京へ向かう便でも同じような要求をしたのだろうか。

 この記事がなぜ削除攻勢に遭っているのかについて、確かな根拠を持っているわけではないが、南方航空がサラッと乗客の身分を明かしているところに問題がある。顧客の情報を漏らした南方ではなく、西安市の要求に問題があるのだ。

 2013年に公布された『中央国家機関旅費管理規則』では、省部級(閣僚級)がビジネスクラス搭乗を認められている。その下の局長以下はエコノミーだ。西安市委書記は、上級自治体である陝西省委常務委員も兼任するから省部級にカウントできるだろうが、市長以下はどうだろうか。

 西安市は陝西省の省都で副省級市だから、書記、市長、人大主任、政協主席らいわゆる四套班子のトップは副部級にはなるが、同行した60名あまりは局長以下なので、今流行りの紀律違反を犯していることになる。ちなみに成都などでの活動では、呉鍵(西安市委常務委、宣伝部長)ら数名が実名で紹介されている。

 CZ6433便に使用されているエアバス321はビジネスクラスが12席。通常のエコノミー席より座席の間隔が40%広い「明珠エコノミー席」が24席あり、ビジネスクラスとここに別れて座ったのだろう。

 南方航空は色々とミスに気づいたのだろうか、当日に「報道は誤配信されたもの」という謎のコメントを出しているが、この手の記事にありがちなデマ認定はしていない。しかし、報道の内容が事実ではないと否定もしていないのだ。

==参考消息==
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:0jZ606BQDtAJ:news.163.com/17/0810/20/CRGNPMTH0001899N.html+&cd=7&hl=ja&ct=clnk&gl=jp
http://epaper.xiancn.com/newxarb/html/2017-08/07/content_289447.htm
http://news.xiancity.cn/system/2017/08/11/030489358.shtml
http://www.mof.gov.cn/zhengwuxinxi/caizhengwengao/wg2014/wg201402/201407/t20140728_1118944.html
https://www.csair.com/cn/tourguide/flight_service/cabin_layout/kongke/18h1tbo6e1lmg.shtml
https://www.csair.com/cn/tourguide/flight_service/cabin_layout/kongke/resource/7cfdf6cfeb21622933d7964442a1399e.png
http://www.csair.com/cn/tourguide/flight_service/A330/peconomy/
ラベル:紀律違反
posted by aquarelliste at 01:25| Comment(0) | 消息 | 更新情報をチェックする