2017年10月19日

十九大開幕式をただただ鑑賞してみた

 さて、第19回党大会が始まった。十八大では90分だったのに、今回は210分とディレクターズカット版のような長さとなった習近平の演説。

 原稿の文字数はそれほど変わりがないので、習が相当ゆっくり読み上げたのだろうが、出席者がおかしくなるような長時間は止めた方がいいと思う。

 5年前もやった、ただただ視聴した感想を書いていく。

(1)スローガンが変わっている

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※今回のスローガン

 党大会では、会場に2種類のスローガンが貼られる。1つは上段に掲げられている「偉大、光榮、正確的中國共產黨萬歲!」(偉大、光栄、正確な中国共産党万歳)。変わったのは下段に掲げられているスローガンだ。

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※前回のスローガン

 5年前の十八大は「高舉中國特色社會主義偉大旗幟,以鄧小平理論、”三個代表”重要思想、科學發展觀為指導,堅定不移沿著中國特色社會主義道路前進,為全面建成小康社會而奮斗!」(中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を高々と掲げよう。鄧小平理論、3つの代表、科学的発展観を指針としよう。中国の特色ある社会主義の道に断固として寄り添い前進しよう。小康社会の全面的な建設のため奮闘しよう)だった。

 十六大までさかのぼっても、当時存在していなかった科学発展感は無いものの、鄧小平理論と3つの代表を高々と掲げようと呼びかけている。

 今回は「不忘初心,牢記使命,高舉中國特色社會主義偉大旗幟,決勝全面建成小康社會,奪取新世代中國特色社會主義偉大勝利,為實現中華民族偉大復興的中國夢不解奮鬥!」(初心を忘れず、使命を心に刻み込もう。新時代の中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を高々と掲げよう。小康社会の全面的建設に決着をつけ、新しい中国の特色ある社会主義の偉大な勝利を勝ち取ろう。中華民族の偉大な復興という中国夢実現のため、たゆまず奮闘しよう)である。

 見ての通り、鄧小平、江沢民、胡錦濤が編み出した一連の重要思想を指導とする、との文言が無い。

習近平講話の中で、「中國共產黨人的初心和使命就是為人民謀幸福、為中華民族謀復興」(中国共産党人の初心と使命は人民の幸福を考え、中華民族の復興を考えることだ)という、東方紅みたいな使われ方をされている。

 これまでの設定をかなぐり捨てて路線変更を図った外ドラみたいだが、新時代の中国建設を理由に、これまでのやり方を踏襲しない姿勢の表れではないだろうか。江、胡はともかく鄧小平理論まで消し去ったあたりに決意を感じる。

(2)胡錦濤が老けた

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※老けたというか老いた

 普段見慣れている政治局委員胡錦濤だけや常務委員に比べれば、5年ぶりの方々ばかりなので老いは顕著だ。その中にあっても、葬式でちょくちょく見かける胡錦濤の老けっぷりは群を抜いている。容貌だけの話ではない。

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※上が十八大、下が十九大

 見た目からふるまいから明らかに弱っている李鵬の方が上なのだけれど、胡錦濤は2015年9月のパレードから一気に弱っている。当時はいなかった介添え人が2人付き添っているのだ。

 5年前の党大会は総書記でもあったし、入場時に気軽に握手に応じていた。これは江沢民も同じだ。パレードのポジションは楼閣で段差もあったので、江沢民は介添え3人で抱えられるようにステップを降りていった。

 一方の胡錦濤は介添えこそいなかったものの、左手は震えっぱなしで、当時から体調面が不安視されていた。そして十九大は2人の介添えを従えての入場となった。

 今回は愛想こそ振りまくものの、握手しようとするものはいない。これは江、胡以外も同様だ。習近平を引き立たせるために双方が止められているだけなのかもしれないが、出来ないのではないかとも勘繰ってしまう。

 江沢民、胡錦濤、李鵬と死亡説、危篤説が流れた人以外には介添え人はいない。党大会に出席できたとは言え、緊急時に備えなければならない程度に健康状態は悪いのではないだろうか。握手できない健康状態って何だろう?という気もするが、しばらく体調を見極めるためにも、葬儀ヲチはかかせなくなる。

(3)羅幹欠席

 主席台の常務委員で唯一欠席したのが、元政法委書記の羅幹が欠席している。オヤビンの李鵬が這ってでも出場していることを考えると、子分甲斐のない奴だとは思う。十七期常務委員の中では抜けて最高齢だったので、仕方ない面もあるのだけれど。

 党大会には病気や用事で欠席する者が10人程度いるのだけど、羅幹もカウントされているんだろうか。

==参考消息==
十八大開幕式をただ鑑賞してみた(2012年11月10日)
ラベル:十九大
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2017年10月01日

孫政才の「罪状」が変わっていた

 29日の政治局会議で党籍剥奪が決定された孫政才。当日夜、新華社は孫政才の紀律違反内容を伝えていた。

 孫政才は理想、信念が動揺した。党の信条に背いた。政治的立場を失った。党の政治規律と政治規則に重大に違反した。
 30日の午前中に確認した記事にはこう書いてあった。ところが、発表当初はこうだったのだ。

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キャッシュ 
孫政才は理想、信念を全く持たなかった。党の信条に背いた。政治的立場を失った。党の政治規律と政治規則を踏みにじった。
 キャッシュには変更前のバージョンが残っていた。また、孫政才の古巣である農業部の孫政才批判大会では両者がミックスされた「理想、信念が動揺した」「踏みにじった」バージョンとなっており、突然の変更に追いつけていないことがわかる。

 RFIは、孫政才と関係が良好な元老が表現を和らげるよう、習近平、あるいは王岐山に働きかけたのでは報じている。党籍を剥奪された政治局委員への罪状に関する表現が和らいだ理由はそれくらいしかないだろう。

 両者の差異にどれほどの意味があるのかはこれだけではわかりにくいが、周永康や令計画が「違反」だったことを考えると、やはり「踏みにじった」という表現は厳しい。

 2人は国家機密を違法に取得し、これを流出させていた周、令が終身刑なので、それ以上となれば2年間執行が猶予された死刑判決もありえる。表現こそ改められたが、孫政才への処分は苛烈なものになるかもしれない。最初の罪状が本音なら、党中央は周、令以上に危険視していることになる。

 大物が失脚すると、地方自治体や中央省庁は党中央の決定を擁護する大会を夜通し開催するのが恒例になっている。特に、影響力の残る古巣での反応は、払拭するためか激烈になりがちだ。

 吉林省、重慶市の糾弾が、水に落ちたハゲを叩くかのように激語だらけだったので紹介しておく。
 
 孫政才の重大な紀律違反行為は、党の性質と趣旨に完全に反していた。党の団結と集中統一を破壊した。党組織を蝕んだ。党と国家のイメージを損なった。影響は十分に劣悪であり、教訓は極めて深刻である。

 特に、孫政才は吉林省で省委書記、省人大常務委主任在任期間中、吉林の事業発展を顧みることはなく、昇進にしか関心がなかった。吉林の政治的生態を破壊した。劣悪な影響をもたらし、巨大な被害をもたらした。
 見られない表現がいくつある。「党組織を蝕んだ」と訳した部分は、党の身体を腐食させたと約することもできて、いずれにしても党中央がお怒りなのがわかる。

 ただ、昇進ことばかり考えていたような人間を政治局委員に昇格させた責任はないのかという気もしないでもない。

 重慶市は、政治局会議の党籍剥奪決定を伝えた幹部大会では、比較的穏当な内容だったが、翌日に続いて開かれた大会では、「重慶の改革発展と、対外的なイメージに対する影響は大きく、傷は深い」と批判した。加えて、薄、王思想の余毒と融合したとして、再度一掃を宣言している。

 そういえば、重慶も吉林も後任は習近平の昔の部下である。彼らも余毒を一掃できなければまた同じ運命をたどるのだろうか。

==参考消息==
http://cn.rfi.fr/中国/20171001-新华社罕有更正缓和对孙政才指控或反映党内斗争严重
http://www.zaobao.com.sg/realtime/china/story20170929-799200
http://www.moa.gov.cn/zwllm/zwdt/201709/t20170930_5833631.htm
http://news.sina.com.cn/c/nd/2017-09-30/doc-ifymkwwk7105316.shtml
http://www.cqrb.cn/html/cqrb/2017-10/01/001/content_181655.htm
ラベル:十九大 孫政才
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2017年09月30日

孫政才さん党籍はく奪

 重慶市委書記の党籍剥奪が政治局会議で承認された。10月11日に開催予定の中央委員会、七中全会で追認される。ハゲは出世しないという私の持論がまたしても証明されてしまった。

 孫政才は2012年に政治局委員に昇格し、当年54歳。広東省委書記の胡春華と並んで、次世代を担うホープと目されてきた。

 雲行きが怪しくなったのは今年2月。重慶市に対して行われた中央紀律検査委員会の巡視、汚職調査の結果である。重慶市に置ける巡視は第18期2度目で、2度目の結果は1度目より厳しい結果が出ている。

 同じ直轄市の天津市は、2度目の巡視で代理書記を1年半以上担当した黄興国が解任されている。孫政才は、巡視直後に解任こそされなかったが、「薄、王思想の排除が徹底されていない」と糾弾された。薄は2012年に重慶市委書記を解任された薄熙来、王は薄の腹心だったが、最後は仲違いし成都市の米国領事館に逃げ込んだ王立軍のことである。

 巡視結果では人事任用で問題があったことが指摘されている。薄熙来に近いものたちを引き上げたり、そのままにしていたということなのだろう。

 2週間後に迫った党大会。これに出席する重慶市の代表選出でも、人選に問題があったことが露呈している。5月に選出された党大会の代表43人のうち、孫政才を含む市委常務委員5人を含む13人が資格なしとして代表を再度選出することになった。なお、代表選抜にあたって、人事情報を握っている組織部長の曽慶紅(女)はすでに解任されている。

 十九大の代表名簿からは、重慶市首脳部である、市委常務委員の5人の名前がなかった。前出の曽慶紅(女)に加え、王顕剛(市委秘書長)、劉強(政法委書記、副市長)、陳緑平(副市長)、陶長海(統戦部長)である。

 党中央が規定する条件に合致した、優秀な共産党員が選出の基準だが、この5人は基準を満たしていないことになる。5月には5人とも選出されていたので、この4ヶ月で優秀な党員ではなくなったのだろう。ただし、他の自治体からは、党委員会常務委員は全員が代表に選出されているので、大したことのない基準であると思う。

 陳良宇や薄熙来のように、孫政才は政治局委員の職務を停止されておらず、そこまで厳しい処分にならないのではと考えた時期もあったのだが、孫政才の命運が決定的となったのは25日に開催された、「互いに奮闘した5年」展覧会である。

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犯罪者扱い

 周永康、薄熙来、郭伯雄、徐才厚、令計画といった、副国級の大物と同じ展示で紹介されている。他の5人は裁判での模様か、それに準じる場面でのキャプチャを流用したものだ。孫は刑事訴追を受けると暗示していた。

 孫政才の紀律違反に真っ先に挙げられているのは、理想、信念が動揺した。党の趣旨に反したというものである。また、仕事に怠惰だったとも指摘されている。薄、王排除において無能だったということなのだろう。権力の私物化や収賄は、手紙に書く拝啓みたいなものなので、どうでもいい。

 孫政才に薄、王排除の難題を押し付け、それができなければ解任という路線は、重慶市入りさせた時点で決まっていたのかとさえ思えてしまう。

==参考消息==
http://news.xinhuanet.com/politics/2017-09/29/c_1121747644.htm
http://www.ccdi.gov.cn/yw/201702/t20170213_93903.html
https://mp.weixin.qq.com/s/jXDvEZtGW8QR2LW02uJspA
http://www.cqrb.cn/content/2017-09/30/content_125791.htm
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:G8Qa-gqJlC8J:china.caixin.com/2017-09-29/101152419.html+&cd=2&hl=ja&ct=clnk&gl=jp&client=safari
http://epaper.cqrb.cn/html/cqrb/2017-06/01/001/content_169647.htm
十九大人事の件:陳敏爾の常務委入りもない(2017年09月24日)
ラベル:孫政才 十九大
posted by aquarelliste at 13:25| Comment(0) | 消息 | 更新情報をチェックする