2018年02月14日

王岐山は引退していない模様

 王岐山が引退していないことが、公式に証明された。

 毎年恒例となっている、現役指導部による正国級、副国級経験者へのお年賀が行われた。このイベントを報じる記事には、お年賀を受けた副国級以上の経験者の名前が出る。『從黨和國家領導崗位退下的老同志』(党と国家の指導者から退任した古参党員)と呼ばれる。

 旧正月は、党人事が刷新される党大会と、政府人事が決定する両会の間に来るので、出来立てホヤホヤの「新・古参党員」が確認できる貴重な機会だ。この時点で政府の副国級以上ポスト保持者は、たとえ3月の両会で退任することが99%見えていても、現役として扱われる。全国人大常務委員長の張徳江や、国家副主席の李源潮らがそうだ。

 一方、党の副国級以上はすでに退任が決まっているので、中央精神文明建設委主任の劉雲山や、中央紀律検査委書記だった王岐山が・・・王岐山の名前がないのだ。

 王岐山は現在政府にもポストはないので、ヒラ党員の無役なはずだ。ヒラ党員になったはずの正国級の名前がお年賀リストにない答えは1つ。今後、党か政府でポストが用意されるということになる。

 党の人事はあらかた終わっているし、新しいポストをこしらえるためには中央委員会の開催が必要だろうから、王岐山に見合うポストは政府側で用意されるのだろう。

 王岐山はすでに湖南省の全国人大代表に選ばれている。胡錦濤も曽慶紅も、完全引退の年には選出されておらず、中軍委主席を留任した江沢民は選出されていたので、恐らく現役続行であろうとは見ていたが、ほぼ間違いないだろう。

 このリストはキャリアハイではなく最終ポストでジャッジされるので、経験者でも常務委員を解任された胡啓立は、キャリアの最後が政協副主席だったので副国級として扱われる。

 第19期は中央委員に格下げとなったので、劉奇葆や張春賢の扱いは不明だ。しかし、『古参同志の変化』という記事には以下のように書かれている。

劉奇葆は第13期中国人民政治協商会議全国委員会委員に加わった
張春賢は湖北省で第13期全国人大代表に当選
 わざわざ引退してないアピールをしているのだから、恐らく全国政協副主席、全国人大副委員長に就任が内定しているのだろう。

 同記事では王岐山をグランドスルーしている。王は前出の2人とは異なり現在無役だが、スルーをかますことで怪しさが高まっている。

==参考消息==
http://www.xinhuanet.com/politics/2018-02/13/c_1122415672.htm
http://www.xinhuanet.com/politics/2018-02/14/c_1122419710.htm
https://mp.weixin.qq.com/s?__biz=MzUzNTA4NTYxMA==&mid=2247493558&idx=2&sn=d2c2ab254152edd4d4bfffb557b0d1f8&chksm=fa8870f3cdfff9e5e4b781063f065de26e49e5f67e6a8f17a52789c674561b93b2bc7e414d60&scene=0&pass_ticket=Mc8JCZ8jHMivY96NZ9YbERJ5%2BQx1cGiEVWwy%2BOStvl7y4skOA%2B0cNlrtTGPDK0hM#rd
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2018年02月13日

中央委員の年齢層を分析してみた

 2ヶ月ほど前の話。某工作室代表に、「中央委員の年齢層はちゃんと把握しているのか」(大意)と、がぶり寄られた。

 酒の席だったので話半分に捉えてはいたのだが、興味あるので調べておきますとお答えした手前もあり、また興味自体はあったので進めていたのだが、先日進捗状況の確認が来た。

 そろそろまとめておかないとまずい気がしたので、どういった傾向が出ているのかをそれなりに分析してみたつもりだ。

2018021301.png

2018021302.png

 第18期と第19期だけの比較だとデータとして心もとないので、第16期から第19期までの中央委員552人を対象に広げ、中央委員の年齢構成、成り上がり率を表にまとめた。性別、民族、学歴や大学なども扱いたかったが今回は取り上げない。

 まとめてみて色々なことが分かった。例えば。

 (1)中央委員の失脚による補選で、候補委員から繰り上げられて正委員となった者は、次期も正委員に選出されれば新任ではなく留任となる

 これは、第19期の新任の数がどうやっても5人合わないので、もしやと思い、第18期に補選された面々を1人ずつ調べていくと数字が合ったことで気づいた。

 (2)前期で中央委員に繰り上がったとしても、必ず中央委員になれるわけではない。

 第18期七中全会では11人が繰り上げされたが、第19期でも中央委員を務めているのは4人。第18期全体では5/19。二週間後に党大会を控えた七中全会を開催するためだけの補選なのだろうか。

 (3)エクセルは統計を取るのに向いていない。

 使い手の頭が悪いだけなのかもしれないが、もうエクセルではやりたくない。

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 江沢民は総書記就任してから、それまでトップを務めていた上海市から次々と部下を中央へ呼び寄せた。上海閥と呼ばれる人たちで、陳良宇の失脚で世継ぎは断絶し、現在はもう一線級には存在していない。

 習近平は1985年から2007年まで、福建省、浙江省と沿岸部で経験を積んでいたのが、総書記就任前後から江沢民と同じように中央、地方の要職に当時の子飼いを送り込んでいる。之江新軍と呼ばれる人たちだ。

 第19期はヒラからの正委員率が、第17期、第18期に比べて高いことがわかるが、胡錦濤政権の1期目となった第16期は割合で第19期を超えているので、数字上は特に異例とは言えない。一方で、蔡奇や丁薛祥らヒラ党員や候補委員からの政治局入りが5人と4期中トップとなっている。

 年齢構成だが、一部の世代が飛び抜けて多いわけでも少ないわけでもない。張慶黎や吉炳轩といった1951年生まれの66歳が中央委員会に留まることも特に珍しいことではなく、2,3人ではあるが毎期存在している。


 問題だと思うのは、最年少が二期続けて陸昊という点だ。

 黒龍江省長として第18期を乗り切った1967年生まれの陸昊さんが、第19期も最年少となった。第18期は1958年以降の生まれが、陸昊さんを含めて8名だったのが、第19期は63名もいる。

 形の上では新陳代謝をしているようにも見えるが、果たしてそうだろうか。仮に最年少の陸昊さんが総書記後継として常務委員に選出されるとして、第20回党大会の2022年には55歳、第21期から総書記に就任するのがさらに5年後の2027年で60歳。

 ご存知の通り、陸昊は厚遇されているようには見えず、総書記に就任という大逆転の目はまずない。現在の中央委員から後継者を出すとすれば、最年少でも陸昊のさらに3つ上である1964年生まれになるから、総書記に就任するのは63歳だ。胡錦濤、習近平が59歳で総書記に就任したことを考えると遅いのではないか。

 この仮説を元にすれば、現在の中央委員会に習近平の次の総書記はいないということになる。常務委員に新しく選出された5人はいずれも習近平と同年代で後継者にはなり得ない。政治局も老人だらけ。三選はあるかもと予測はしていたが、中央委員の状況を見ると四選もあるかもしれない。

 お気づきの点がありましたらご連絡ください。
ラベル:二十大
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2018年02月02日

各地で発生する遅延事件

 大雪が原因で乗り継ぎができず、イランの首都テヘランに取り残された中国人旅行者の集団が「中国!中国!」と叫んだ事案が発生している。

 テヘランには事案が発生したエマーム・ホメイニ国際空港と、メヘラーバード国際空港がある。事案当日の28日は十数年来の寒波で両空港が閉鎖、国際線は全てキャンセルとなった。

 ホメイニ空港に足止めを食らった中国人は240人前後(駐イラン中国大使館)。大多数がテヘランからヨーロッパ各都市やトルコに乗り継ぎをする予定だった。

 出発を迫るために中国連呼したのではないかとネットで非難されているが、そうではなかったと、環球時報が現地大使館と、乗客から情報を得ている。

 現場にいた悦さんによると、こういう事情のようだ。

 乗り継ぎのために一旦降ろされたため、持っているのは手荷物だけで、老人は薬も飲めなかった。

 空港はとても寒かった。

 空港にホテルの手配をして欲しかった。

 しかし空港の対応が遅かったため、大使館に連絡を取った。
 どこかで聞いたことのあるような事情だ。では、中国連呼についてはどうか。

 悦さんは「異国の地にいて、祖国に気にかけてもらったことで嬉しくなり、感情が高ぶってしまった」と、中国連呼に至った経緯を説明している。

 なんだ、そうだったのか。「環球時報の忠実で公正な報道サンクス」(微博で暴れていたアカウント)。

 いやいや。

 駐イラン大使館は、「イランに行く前に、航空会社や旅行者に現地の天気がどうなっているのか確認せよ」と警告している。旅行に対してなんの準備もせず、アクシデントが起きたら大使館に連絡という安易な方法をやられて困っているのだろう。

成田でも同じような事案があったが、27日にはスリランカでも、悪天候が原因で中国人旅行者が足止めを食らい、大使館職員が対応に追われている。

 LCCではなかったためか、あるいは大使館の対応が素早かったためか。国歌斉唱や国名連呼などのビッグイベントはなかったものの、駐スリランカ大使館のプレスリリースには「大使館職員は、乗客の感情を全力で落ち着かせた」とあるように、それほど落ち着いた状況でもなかったことがうかがえる。
 
 これを受けて、中国外交部領事局は『LCCを選択する前に、契約内容を詳しく理解しよう』と通告を出した。

 成田の件で外交部が声明を出しただけでなく、イラン、スリランカの大使館と外交部の再警告。一週間に計4回、自国民の旅行に関する通達が出たことになる。

 特に状況がひどかった成田の後に出された声明より、最新の声明はLCCに関する説明がさらに丁寧になっている。比較するとわかりやすい。

【成田】
 LCCは低コストで経営されている。乗客とは免責事項について事前に合意している。人的資源に限界があり、適時のフライト変更ができないことがある。また、乗客への食事やホテルなどについては責任を負わない。購入時に、契約内容をよく読むように。


【最新】
 様々なサービスを提供するレガシーキャリアとは異なり、LCCはコストを抑えるため、チケット購入時に食事の無料提供、荷物預かり、チケット変更などを行わないことが条件に盛り込まれている。

 遅延やキャンセルがあっても、一般的には無料で食事を提供しない。チケットを購入した時点で同意したとみなされる。

 外交部領事司はLCCを選択する前に、契約内容を細かく読み、受けられるサービスの範囲を理解しておくようここに通知する。
 自分たちが利用しているLCCの約款を理解していない発言や、許容を超えた要求が現地で飛び交ったものと見られる。

 しかし、そうした中国人を量産しているのはほかならぬ中国である。さらに現地大使館と航空会社、空港で前例を作ってしまっている以上、勘違いした中国人は勘違いしたままだ。しっかりと教育しなければならない。いつも他国に大上段で迫っているのだから簡単だろう。

 また、スリランカで遅延したのはスリランカ航空なので、LCCではないから、それなりの補償はあったものと思われるにもかかわらず、東方航空や南方航空に分乗して目的地に到着している。さすがに大使館が甘やかしすぎだ。

 参考消息も酒を飲みながら書き散らしたかのような記事を書いていた。

 海外に出て旅行に行くのは個人の資格なのだから、最低限の認識について責任を持つべきことだ。

 強い国家の前提には、個人が強くならねばならない。平和的な時代にあって、中国人旅行者は、海外で「戦狼」の続編を自演してはならない。

 これは愛国主義を捻じ曲げたものだ。愛国の前に、まず自らを愛さねばならない。健全で強い個人が増えれば、祖国は真に強いと証明されるのだ。
 「戦狼」は昨年12月に日本でも公開された映画『戦狼/ウルフ・オブ・ウォー』のことだ。

 元解放軍の兵士が、アフリカの奥地に取り残された中国人を救出するストーリーを指しているのだろう。

 言いたいことはわかるが、それをお前が言うなという感想しかない。キミたちの愛国に対する熱意はわかるなどと緩く指摘しても、反日デモは止まらなかった。デモ会場に通じる道の上に、コンテナを置くことに相当する実力行使が必要なのだと思う。

 もう、中国に乗り入れている航空会社は全部禁止して、自前で飛ばせばいいのではないか。地上スタッフは中国語も通じるし、強い祖国が何とかしてくれるだろう。

==参考消息==
https://www.weibo.com/1686546714/G0Wd9hSVO?from=embedded_weibo
https://www.weibo.com/ttarticle/p/show?id=2309351000144202072705740099&u=1686546714&m=4202237674262736&cu=3655689037
http://www.xinhuanet.com/politics/2018-02/01/c_1122351291.htm
http://ihl.cankaoxiaoxi.com/2018/0131/2254128_6.shtml
http://lk.chineseembassy.org/chn/xwdt/t1529558.htm
http://ir.chineseembassy.org/chn/sgzc/t1530600.htm
http://cs.mfa.gov.cn/gyls/lsgz/fwxx/t1530576.shtml
posted by aquarelliste at 12:44| Comment(0) | 消息 | 更新情報をチェックする