2017年01月03日

石家庄市は「鋭い刃で汚染を斬る」でどうなったか

 9月以来、我が市には連続して重汚染が現れている。全国74カ所の重点都市ランクでも後退し、年間を通したPM2.5の10%削減目標は非常に厳しい。
 といった書き出しで、河北省の省都・石家庄市が昨年11月17日に始めた「利剣斬汚」(鋭い刃で汚染を斬る)行動。AQIが500を超える日をゼロにするため、以下のような内容を打ち出しています。

 鉄鋼、セメント、ガラスなどを生産する工場の操業を年内停止、製薬、化学工業、印刷、家具などの工場は原則として操業を年内停止。
 農業、畜産業で使用する石炭火力発電所は使用禁止。
 政府が未許可の建物取り壊し、道路工事やセメントの撹拌、スプレー塗装、溶接など粉塵や有毒な気体が発生する作業は禁止。
 ディーゼルオイルを使う機械の使用禁止。
 市中心部での建設ゴミ運搬車両の通行禁止。
 露天掘り、石材加工も禁止。ナンバー規制を行う代わりに市内のバスは無料。
 操業の制限、あるいは停止を受けた企業は市の職員2人が常駐して監視、ゴミや樹木などの焼却は禁止。
 「鋭い刃で汚染を斬る」は遅くとも2014年から河北省の一部都市で展開されていたのですが、石家庄市が今回展開したものが最高に厳しいとの呼び声も高く、摘発部隊となる公安の環境安全保衛支隊も休日を返上して巡回。これだけやれば目標も達成できるのだろうと年明けの報告を待っていました。

 そうしたら、「汚染物質ピークの濃度が最大限度低下」、「大気汚染日数の減少」ができましたと成果を強調しつつ、この成果を確実なものとするため、3月中旬まで同じようなことを続ける宣言ですよ。市が17ヶ所にばら撒いた監督チームも、引き続き大気観測を続けるそうです。旧正月とかどうするんでしょう。

 おそらく石家庄市の集中暖房供給が3月15日までなので、そこを乗り切ればという目算なのでしょう。そもそも「鋭い刃で汚染を斬る」運動が始まった11月17日も、集中暖房供給が開始された2日後ですし。

 なお、道路掃除のおばちゃんは「ホコリは1立方メートルあたり5グラムを超えてはならない」なる、中国が大好きな謎規定を達成するため、清掃用のほうきを小さくして対応。おかげで出勤時間が1時間早くなったそうです。よかったですね。

==参考消息==
http://www.sjz.gov.cn/col/1274410601973/2016/11/17/1479390992125.html
http://www.sjz.gov.cn/col/1451896947837/2016/12/26/1482737357467.html
http://www.sjz.gov.cn/col/1451897146243/2016/12/26/1482737677445.html
http://www.sjz.gov.cn/col/1479712552745/2016/12/28/1482886321751.html
http://www.chinanews.com/sh/2017/01-01/8111185.shtml
http://sjz.hebnews.cn/2016-12/12/content_6139194.htm
http://www.iges.or.jp/jp/china-city/pdf/document/2015_doko/3_tihoutoshinoseisakudoukou.pdf
posted by aquarelliste at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

2016年12月11日

十九大人事予想・定年は引き上げ方向

 「十九大人事予想」の続きをそろそろ書かないと、党大会が始まってしまいますね。

 六中全会直後に、68歳以上で党大会を迎えると中央委員に選出されずに引退となる年齢制限、いわゆる「七上八下」を否定する発言が出てきましたので、予定を変えて定年引き上げについてまとめておきます。

 発言したのは六中全会の草案作成に関わった人物でした。「七上八下」は民間の見解にすぎないと、その存在が当の人間によって言及され、さらに否定されています。指導部の引退問題については、「固定された厳格な組織手続きによって進められる」と説明しています。

 また、かつて幹部の選抜において、年齢制限を設けたことによる不利益があったとして、現在は年齢制限を設けていないことも示唆しています。県級は35歳、地級は45歳以下というラインが敷かれており、本当に優秀な幹部が抜擢できない弊害も出ていたようです。

 幹部の若年化は、1980年に鄧小平が始めた幹部若返りからずっと続いていたものです。当時は文革を生き延びたおじいちゃん達が政界に復帰し、現役世代と同居状態。ピーク時は副総理が20人くらいいました。

 いるだけならいいのですが、現役世代をスポイルするような人たちばかりでしたので、終身制を廃止。さらに、幹部選抜の基準である「幹部四化」でも、専門性などと共に若年化を盛り込み、おじいちゃんを中央委員会から追い出す根拠としたのでした。

2016121103.png
※葉剣英なんか1897年生まれなので関数が使えませんでした

 常務委員会の若年化は若手幹部抜擢から数年遅れましたが、鄧小平が陳雲と共に常務委員を退いた1987年以降の平均年齢は60代前半で推移しています。

 「七上八下」が存在するのであれば、反腐敗を進める中紀委書記の王岐山は引退が確定。さらに5年の納期延長をさせるには、68歳の引退ラインを2017年の十九大、2022年の二十大で1歳ずつ段階的に引き上げるのではと見ていました。

 1歳ずつ引き上げれば、十九大で劉雲山を排除しつつ王岐山を留任させることができますしし、二十大で習近平も政治局常務委員を続投出来るという私と習近平に都合が良いというもの。根拠もなしに寝言ばかり書いていられないので、とりあえず根拠らしきものを出しておきます。

2016121102.png
※制作時間4時間の大作です

 10,11月に、12の地方自治体で、首脳部にあたる常務委員の改選が行われました。江西、江蘇を除く10の自治体で、常務委員の平均年齢が軒並み上がっています。5年前には26人いた40代はわずかに3人のみ。「幹部四化」にもうたわれているように、新任幹部の売りは若さと高学歴です。今回は高学歴はともかく若さは大っぴらに喧伝されていません。

 5年前なら60後(1960年代生まれ)は51歳以下と「若手」をアピールするのに十分でしたが、5年が経過した今回、「65後」(1965年以降の生まれ)を出してくるような記事は見られませんでした。「65後」なんて実際ほとんどいないですからね。 党委書記だけを見ても平均年齢は約2歳上がっていますし、これまで65歳だった閣僚級の定年もあるいは引き上げられているかもしれません。

 年齢が障害ではなくなりつつある今、足かせとなりそうな現行の党規、憲法はどうか。

 中国共産党、中国政府における同一の職務を連続で三期務められないと規定されています。間に別の人間を挟んでも再び推薦されないようになっています。

 三期にまたがって総書記や総理を務めていた江沢民や李鵬が引退した後の2006年、三期連続で務められなくなったのですが、周小川(中央銀行総裁)や王家瑞(前・中央対外連絡部長)のように三期にまたがって同じ職務を担当している人もいます。

 彼らは中央委員からすでに退いており、党員としてはヒラではありますが、中央委員より格上の「党と国家の指導者」である政治協商会議副主席を兼任させて、三期目も引き続き留任しています。余人をもって代えがたい能力があってこその留任なんでしょうが、すでに例外がある以上なんとでもなりそう。党規は暫定なので、これから修正が加えられる可能性はあります。

 などと書いてたら結構な量になってしまったので、政治局委員、常務委員候補の具体的な解説は次回に。

==参考消息==
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-08/06/content_4926300.htm
http://www.gov.cn/gongbao/content/2004/content_62714.htm
http://www.singtaousa.com/943349/post-「七上八下不足信」%E2%80%82官員否認潛規則
http://news.mingpao.com/pns/dailynews/web_tc/article/20161101/s00013/1477936831861
http://news.mingpao.com/pns/dailynews/web_tc/article/20161105/s00013/1478284019769
http://cpc.people.com.cn/n/2015/0728/c64387-27375493.html
http://opinion.people.com.cn/n1/2016/1124/c1003-28891467.html
posted by aquarelliste at 20:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする

2016年10月30日

党の核心になっても何も変わらない

 六中全会、中国共産党第18期中央委員会第6回全体会議が終了したので、公報と翌日に開催された記者会見に目を通して見ました。

 六中全会は『新しい形成下における党内政治生活に関する若干の準則』と、『中国共产党党内監督条例』。反腐敗関連の党内法規の改定が主な議題だったのですが、核心騒動でその辺りがすっ飛んでしまいました。2つの党内法規についてはそのうち内容が明らかになるでしょうから、核心の件を。

 同会議では「習近平同志を核心とする党中央」とすることが正式に決定。毛沢東、鄧小平、江沢民のみの呼称だった核心に、総書記就任4年足らずでなってしまうのですから、相当強い総書記であることは間違いありません。

 習の核心昇格は急に出てきた話ではなく、今年1月末の政治局会議で提起された「四つの意識」で核心意識がうたわれており、これが総書記たる習近平を指すことは明白だったのと、これに先立って地方トップが「習総書記という核心を断固擁護せよ」と相次いで発言している、という前振りがありました。

 また、六中全会開催直前の20日に、李鴻忠・天津市委書記が市の会議で「大党には指導的な核心が必要だ。(中略)党中央の指導的核心は習近平総書記である」とフライングしてましたので、核心呼称は規定路線だったという気もします。

 記者会見でも、習近平お気に入りの黄坤明・宣伝部常務副部長に「地方や軍が習近平を党中央の核心となることを希望」「中央委員会の同志が一致して『核心』の提起に賛成」「全党、全軍、全国各民族人民の共通の願い」「内政、外交、国防、党統治、軍統治などで歴史的意義ある成果を成し遂げた」と、核心扱いして当然なんだみたいな勢いで、その意義を説明させていました。周囲に推挙されて皇帝へ、みたいな奥ゆかしさが出ています。

 一方で、公報には「いかなる党組織、個人も党内民主を抑圧、破壊してはならない。中央委員会、政治局、常務委員会と党の各級委員会が重大な政策決定を行う場合、深く調査研究を展開し、各方面の意見や提案を聴取せねばならない」と明記されています。

 「省委すなわち省委書記」みたいな意識の人間を反腐敗で片っ端から叩き斬ってきた手前、個人への権力集中に反対するのは当然であり、習近平はこの記述に異論は唱えられません。大虎の主な生息地である省部クラスだけではなく、政治局、常務委員会もその範囲となっていることから、習近平自身の足かせにもなるのです。

 核心に昇格したとはいえ新たな権力を与えられたわけでもなく、単に政治的な称号に過ぎないのであれば、これまでとなんら変わらないことになります。習近平もそこまでバカではないと思いますが。

==参考消息==
http://www.tj.xinhuanet.com/lhzjianghua/20161021/3496915_c.html
http://politics.people.com.cn/n1/2016/1027/c1001-28814104.html
http://www.xinhuanet.com/politics/lzqh20161028/index.htm
http://cpc.people.com.cn/n1/2016/1028/c164113-28816761.html
http://www.xinhuanet.com/politics/lzqh20161028/
posted by aquarelliste at 16:58| Comment(4) | TrackBack(0) | 消息 | 更新情報をチェックする